月姫の陰陽師肆 (ページ21)

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第166話ページ21

「......！？」

「それが《太陰》の本質。究極の陰の気を司る宿命を課せられた″穢れの姫″」

「わ......私.......が......ケガ.....そんな筈が......じゃ、じゃあ双星の陰陽師......とははじめから何......なの.....」

自分の正体を知り、絶望した様子の紅緒に千怒は立ち上がり紅緒の額に人差し指をくっつける。

「これがお前たち陰陽師が戦う理由。真に祓うべき″悪″！！」

千怒に見せられているのは千年前の記憶。
ろくろが以前天馬から見せられた記憶と同じものを紅緒も見せられている。

「(映像が頭の中に流れ込んで.......くる。け.....穢れの王？安倍晴明様は女......性！？それに......この二人の容姿似ている......これは偶.....然？)」

安部晴明と目の前の千怒の容姿が似ていることに首をかしげる紅緒。

「禍野を介した陰陽師の戦いは千年前から始まった.....が現と穢れの王との接触はもっと前からあったのじゃ。穢れの王ははじめこそさしたる脅威ではなかった...........人の魂喰らい徐々に.......確実に成長を遂げるそれに、いつか取り返しのつかね事態が起こされるだろうと人々は恐怖した」

恐怖する人々の姿。
その世界は地獄のような光景。

「当時の権力者たちは持てる力を集め対策を講じたが人間の持つ″陽の力″だけでは穢れの王を滅ぼすには至らなかったそんな折ある流派の呪術者たちがひとつの仮説を立てた─────曰く、「穢れの王を滅ぼすには奴と同じ力が必要なのではないか？」」

毒を以て毒を制すという言葉があるように、これを証明するため一人の男が強い使命に駆り立てられた。

「しかし、男の思想はあまりにも危険だったのじゃ。男は穢れの王によって変態させられた人間たちを捕らえると長い年月をかけこれを徹底的に″研究″した─────そして、変態した人間の中から陽の気を取り除くことで新しい力を生み出し、これを″陰の気″と名付けた」

この陰の気と本来の人間が持つ陽の気を合わせれば穢れの王をたおせる。しかし......大義はいつしか手段を選ばぬ暴走へと変わってしまった。結果生まれたのは、ただただ陰の気を増幅させるだけの化け物。

「それがケガレ。儂かケガレは全て太陰を創り出すためのプロトタイプ。その一番最初に産み落とされたのがこの儂じゃ」

　