第116話 ページ18
「あ、そうだ！」
なにかを思い出したようにこちらを見た境さん。
過去さんも未来もこちらを見る。
「お帰り」
『！』
「七年前、彼方の話を聞いた時は悲しかったし、それ以上に悔しかった......。僕は、僕たちは君よりも強くない。実力も才能もない」
境さんの言葉に否定しようと口を開けようとしたら、境さん自身に手で制された。
「妹を守れなかったこと。妹に怪我を....」
境さんの視線は眼帯で隠されている目に。
義眼になったのは境さんのせいではない。
誰のせいでもない。
私の実力が足りなかっただけのこと。
「.....いつも、彼方には辛い役目をおって貰っている。」
「それは私の台詞だろう」
「姉さん....」
「境、彼方。お前達にはいろいろとやって貰っている。私が代われればよかったが.....できなかった.....。すまない」
「姉さんのせいじゃない！」
『そうです！過去さんのせいではないんです。これは私達が、私が選んだことです。後悔なんてありません』
私の選択に後悔なんてない。
私が陰陽師として東雲の家の者として、力をつけたために助けられた人がいた。一緒にいたいと思える人が守りたいと思える子達もできた。
「彼方の言う通りだよ。二人ともそんな難しい顔しないでよ。僕も自分の選択に後悔なんてないよ」
″二人″と言う言葉に隣の未来をみた。
過去さんも未来も私達よりそういう役目を持っていない。
その事が悔しくて、不甲斐ないと考えているのかも知れない。私達は、そんなこと一切思ってないのに.....。
「彼方」
『はい』
「.....戻ってきてくれて、生きててくれて....ありがとう......」
『！はい....！』
「帰ってきてくれて嬉しいよ」
『うん』
「「「お帰りなさい彼方／姉様」」」
『.....ｯ....うん！.....う゛ん゛っ！ただいま。....ただい、ま帰りました゛っ.....！』
泣かないと思ってた。
でも、こんなにも優しい言葉をかけられたら嬉しくて、悲しくて....色んな感情が溢れてきた。
家族を悲しませてしまったことは悲しいし、悔しい。
けれど、記憶を失くし本土で出会ったろくや繭、紅、じっさま達。皆と出会えたこともとても嬉しい。
私はここに生まれてこれて、十六夜彼方、焔魔堂彼方になれてとても嬉しい。
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ひーちゃん - リメイク前から読ませていただいていますが、とても面白いです！無理せず更新頑張って下さい。応援してます。 (2022年4月5日 17時) (
レス) id: fdbe555570 (このIDを非表示/違反報告)
夏菜沙(プロフ) - コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2022年2月26日 17時) (レス) id: 6b5f9c4200 (このIDを非表示/違反報告)
オタク - すごく面白いです!!!!!!無理せず更新頑張ってくださいｯｯｯ (2022年2月22日 18時) (レス) @page10 id: 069b2b7513 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年7月31日 17時
