第112話 ページ14
鵜宮天馬side
久しぶりの禍野で疲れたのか、寝息をたてながら穏やかそうに眠る彼方。手を伸ばし、彼方の頬にかかる髪を横に流す。
「はあ....こいつには警戒心ってやつはねぇのかあ？」
「貴方だからないんですよ」
突然聞こえてきた声に誰が来たかはわかっている。
俺はそいつを見ずに彼方の頭にそっと触れた。
「姉様が帰って来ていると聞いて会いに来てみれば鵜宮の当主も来ているとは」
「別に俺がここに来てもいいだろう。それとも、来ちゃ悪いのかよ、んん？」
「そうは言ってないですよ。貴方が来ると姉様は喜びますから.....」
絶対に思ってなさそうな事を言っていることが伝わってくる。 こいつ、昔から彼方のことを優先するからな。悔しそうな顔をしながら、真面目な顔つきをする彼方の弟。トリ丸に似てんなぁ。
「.....思いを伝えるなら早めにしてくださいね」
「....わかってる」
「貴方ぐらいしか、姉様を守れる人はいないんですから......。姉様を泣かせるようなことはしないでくださいね」
「......」
お前に言われなくてもわかってんだよ。
こいつを守るのは俺だ。
「こいつは俺の.....、たった一つの光だからな」
俺の光で、変わることのない俺の大切な一番好きな奴。
彼方は俺を″最強″として見ない。
鵜宮の当主や十二天将″貴人″として見る前に、俺を
雑魚相手でも怪我の心配、自分よりも
本当に変わらねえ。
まあ、それが彼方らしいがな。
『ん』
「起きたか〜〜？」
『起きた.....？えっ、寝てたってこと....？』
うっすらと開けている左目を大きく開けて、ゆっくりと起き上がった彼方。首を左右に動かしてから俺を見て嬉しそうに微笑んだ。
『おはよう』
「！」
ほら、やっぱりな。
「(.....変わんねぇな).....寝癖ついてるぞ」
『嘘ッ！どこっ！？』
俺に光をくれるのはお前だけだ。
だから、......悪いがお前には言えねんだ。
この十数年言葉にしなかった二文字は、お前に伝えられずに俺はお前の前から消える。
『？どうかしたの、天馬？』
「ん？なんもねぇよ.....」
少しだけ、お前の時間を最後にくれるか？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひーちゃん - リメイク前から読ませていただいていますが、とても面白いです！無理せず更新頑張って下さい。応援してます。 (2022年4月5日 17時) (
レス) id: fdbe555570 (このIDを非表示/違反報告)
夏菜沙(プロフ) - コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2022年2月26日 17時) (レス) id: 6b5f9c4200 (このIDを非表示/違反報告)
オタク - すごく面白いです!!!!!!無理せず更新頑張ってくださいｯｯｯ (2022年2月22日 18時) (レス) @page10 id: 069b2b7513 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年7月31日 17時
