第24話 ページ26
私はただ、二人の事を見つめる。
ふと、隣にいる繭を見て、頭に手をおいて撫でる。
あぁ、本当に優しい子だね。繭良は.....。
ろくろ達の話の途中で目が覚めたんだろう。私達に気づかれないように話を聞いていた繭。ろくろの思いを聞いて涙を流している。そんな繭良の頭をただ、撫でてあげることしかできない。紫さんに心配かけないために、ろくろが繭の家に電話をかける。繭良の頭から手をはなし、ろくろを見つめる。
『(ろくろの、貴方が、したいと思う事をすれば私はいいと思ってる......)』
──────────
「......やっぱり、こうなっちゃったなあ.......」
「！」
『繭......目が覚めたんだね』
「うん。ありがとう、かな姉.......」
何に対しての御礼なのか、それは気づかないフリをする。
「まだ、寝てた方が」
「大丈夫だよ。怪我したワケじゃないし......かな姉....化野さん。......私もね、わかってはいたの.......」
『........』
「？」
繭の言葉に紅は首をかしげる。
「私は、ろくろが陰陽師をやめて塞ぎ込んでた時期も知ってるけど........「誰よりも強い陰陽師になるんだ」って頑張ってきたろくろも知ってるんだ」
「二人は......付き合いは長い.....の？」
「腐れ縁だよね。と言ってもろくろは元々この町の出身じゃないんだけど、たしかろくろが雛月寮にやって来たのが、小学校一年生の時だったかなぁ」
「え.......雛.....月？」
「うん。陰陽師の候補生を育てる施設の名前。二年前、ケガレが雛月寮を襲ってろくろだけが、生き残ったの。ろくろが陰陽師をやめるキッカケになった事件.........」
『......紅？』
雛月の話をしたとたん紅の様子がおかしくなった。
「え......まさか今、初めて知ったの？.......化野さん？」
「ろくろが......雛月の悲劇の生き残り........？じゃ......じゃあ椥辻さんがかつてろくろと過ごした所という......のは......」
「亮悟さん？うん。亮悟さんも雛月寮の出身だから」
「.......！！」
「ど......どうしたの化野さん？」
『紅と雛月寮、何か関係があるの？』
この話を聞いた紅が明らかに動揺している。
彼女は雛月と何か関係があるの？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 52人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年7月12日 20時
