第22話 ページ24
放課後。少し長いHRを終えて、今日の晩御飯の買い出しに向かう。
《♪〜》
歩いてる途中、ポケットの中に入れていたスマホに電話がかかってきた。
表示されている名前は「繭」
音海繭良。
ろくろの幼馴染みで清弦さんの実の娘。
全く似てないが......。どちらかというと母親の紫さんの方に容姿はそっくりで、性格と言うか......不器用なところもある子なので、そういうところは清弦さんに似ている。
私のことは「かな姉」と呼んでくれる。
ろくろのことが恋愛的な意味で好きな女の子。告白されても、フラれるろくのことが好きな数少ない女の子でもある。
通話ボタンを押して、スマホを耳にあてる。
『《もしもし、彼方です》』
「《かな姉.......あのね？》」
いつもの元気でハキハキとした声ではなく、暗く沈んだ声の繭。
『《うん、どうしたの？》』
「《........ろくろが今日転校してきた化野さんと一緒に住んでて.......かな姉........知ってた？》」
『《......知ってたよ》』
「《じゃあ、陰陽師をまたやり始めたことも？》」
『《！.......うん、知ってる》』
それは微妙に初耳だけどね.....。
「《！？かな姉は！！止めなかったの！？ろくろが陰陽師をする事！！》」
『《........私には、ろくろの選択を止めれないよ》』
「《.........どうして？》」
『《ろくろが陰陽師として力をふるう時は、誰かを護りたいと思う時だと思うから.......。そのろくろの気持ちを私は否定できないよ》』
これはろくろの決めた道。
「《.......かな姉は、すごいなぁ。私、さっきろくろに怒鳴っちゃって......》」
私は繭の言葉を否定する。
『《私はすごくなんてないよ。何の力も持ってないから。ろくろの事を応援するしかできない。繭は、ろくろが大切だから感情的になって心配してくれてるんでしょ？......ありがとう》』
「《....っ...！！わた、わた────》」
『《！》』
何、ごと？
『《繭？......何かあった？どうしたの！？返事して！？繭良！繭良！？》』
繭が話そうとした時、向こう側からスマホが落ちる音がした。すぐに声をかけるが返事がない。
どうして！？
まさか、禍野に！？
繭がケガレに見つかった？
彼女は生まれつき他の人よりも呪力が高い。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年7月12日 20時
