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第21話 ページ23

テーブルにある朝御飯を食べるため、椅子に腰掛けるろくろ。



「それはそうとお主先日″婆娑羅″に会ったらしいの」

「ばさら?」

「人の言葉を話すケガレの通称じゃ」

『(ばさ、ら.....?)』



絹さんから出た言葉に何か感じる。婆娑羅について、隣にいる紅に聞くとその婆娑羅というケガレは、紅の両親の敵なのだと話してくれた。



「そもそも婆娑羅とは俗世に反する生き方の意。人の姿をしながら人ではなく、ケガレでありながら一介のケガレの強さをはるかに上回る。婆娑羅に出交わせばまず命はない」



婆娑羅の話をしている中、ろくが悔しそうにしていた。先日、出くわして悔しい想いをしたんだろう。その話を気にしながらも時間は進んでいく。ろくろも学校に行く支度を終えて、家を出た。



『じゃ、私先に行くね。ろく、行ってらっしゃい!』

「ああ!姉ちゃん、朝ありがとな!!行ってらっしゃい!」

『どういたしまして!......行ってきます!!』



ニコッと笑って高校に歩き出す。紅はろくよりも早く家を出て行った。ろくろは確か自転車通学。紅緒はこの間きたばっかりだから、学校への道を知らなそう。青春のお決まり!二人乗り登校だったりして.......(正解)?紅とろくの雰囲気もなんとなく変わった感じがしたから、きっと婆娑羅っていうケガレ関係で何かあったんだと思うんだよね。






──────────






『......ケ、ガレ.....か』



........さっき、絹さんが話してくれたケガレ。

人の形をしているケガレ、婆娑羅......。


その名前を聞いて、私の中に様々な感情が生まれた。会ったことも、見たこともないケガレに対して。




多分、記憶をなくす前の私に何か関係しているんだと思う。




悔しさ、怖さ、憎しみ.......、そういった感情が私の中で溢れた。今にの私の気持ちと突然出てきた感情に、追い付けていない自分がいた。








でも、なぜかその婆娑羅とどこかで会うんじゃないかと

この時の私は思った。









直感的に、脳が体が震えた。



 
 


チクリと痛んだように感じた右目。


 
 
 
 
 

 
 
私は、知っている。


無意識の内に私の中にある記憶の欠片が、






 




光ったのだから........。



 

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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年7月12日 20時

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