第9話 ページ11
翌日、今日からGWでいつもより、少し遅めに起きれる休日の日だった。昨日は、いろいろあった。二年ぶりにろくろがケガレを祓ったり、星火寮にろくろと同い年の陰陽師、化野紅緒さんが住むことになったり。
ろくの事をライバル視している紅緒さん。
一方、ろくろは二度と陰陽師はやらないと言っている。多分、紅緒さんならろくろを再び陰陽師の世界に引っ張り込んでくれる人は紅緒さんだと思う。そんな気がする。ろくは、陰陽師でいる方が輝いているから.....。後は、本人の気持ち次第。
部屋を出て、洗面台で顔を洗い、着替えて台所に向かう。さて、朝御飯は何にしよう.......。冷蔵庫を見ながら、悩んでいると後ろから人の気配を感じた。振り向くと制服姿の紅緒さんがいた。
「お.......おはようござい.....ます」
『おはよう、化野さん!早いね?』
「......ケガレを祓いに行くので」
『そっか。じゃあ、朝御飯の用意しておくね!気をつけて行ってらっしゃい!』
すごいなぁ。
こんな朝早くからケガレを祓いに行くなんて.....。
うちの弟はこんな早い時間から起きないよ。
『ん?.....どうしたの、化野さん?』
「......あの、彼方さんですよね?」
『そうだけど.....?』
「私と!!......会ったこと覚えてませんか?」
『.........え〜と、私と紅緒さんは、会った事があるの?』
「はい」
私、この子とあったことあるの?
『ん〜、......覚えてないかな』
「そう.....ですか」
私の記憶には覚えがない。
『うん。″今″の私は覚えてないかな?』
「″今″の私?」
『......私ね、十一歳より前の記憶がないんだよね』
「記憶が?........記憶喪失ということですか?」
『そうなんだ。ごめんね』
「いえ」
暗い顔をしている化野さん。
どうしよう......。
『ごめんね。暗い話になっちゃったかな?気にしなくていいから!!.......紅.....』
「!」
思いきって、名前呼びをしてみた。
『嫌、だったかな?これから、ここで暮らすし、ろくと同い年ってことは妹みたいだと思ったから.......ダメかな?』
「いえ......紅緒って呼んでください......!」
嬉しそうな顔をしている化野さん.....紅。
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年7月12日 20時