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◇視線はどこか遠くへ ページ20

黒崎一護side


手には、箸と朔が作った手作りの弁当がある。手に持っているのに箸は進んでいない。

下に視線を向けて、声に反応しない。
一点を見つめ、動かないでじっとしている。



「朔?」

『.......』

「朝代さん?」



ルキアが声をかけても気づかず、ぼーっとしている。

もしかして、具合が悪いとかか?
そんな感じはしねーが.....。
でも、何の反応もしないのは朔としては珍しい。



「朔」

『.......』



少し距離を近づけて、名前を呼ぶ。


「朔!!」

『!?.....えっ、一護?』



さっきよりも強めに名前を呼べば、今度は反応を見せた。ハッとした表情で「何?」と首を傾げながら、俺の方を見る朔は、戸惑いを含みつつ驚いてる様子だった。「どうかしたの?」「どうかしたの?.....じゃねーよ」と言えば、不思議そうにする。



「話かけてんのに反応してねぇのはお前だろう?」

『え?話かけてくれたの.....?』



「それはごめん」と形のいい眉を下げて、申し訳そうにする。別に怒ってねェ事を伝えればホッとしたように息を吐いた。言った通り、別に気にしてねーし、怒ってもいない。ただ、どこか体調でも悪ィのかと思った。



「どこか体調が優れないのですか?」

『だ、大丈夫だよ。ちょっと、ぼーっとしてたみたい.....(多分....覚えてないけど.....私、何か考えてた?)』



ルキアが学校でのキャラ口調で心配するが、朔は首を横にふった。



「悩みか?なんかあるなら言えよ?」

『うん。ありがとー、心配してくれて』



笑って大丈夫と言う朔。
まあ、無理して笑ってるような様子も見えねぇし大丈夫なんだろうとは思うが.....。「本当に元気だよ!」と俺に笑顔を見せる朔。長い付き合いだからな、表情が変わっていたことに気づかれたんだろう。



「......」

「ルキア?」



朔の次はルキアか。
何か考えるような表情をして、朔を見るルキアに声をかけた。



「どうかしたか?」

「いや、......何でもない」



そう言って首をふったルキア。
深くは追及せず、俺は朔に遊子の話をした。

 

 


 



 





 
 


 

 



 
「(......こやつの顔.....、どこかで.....)」



隣のルキアが、難しい顔をして朔を見ていた事には気づかなかった。

 

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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2023年9月17日 21時

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