【Dr.STONE】科学王国の先輩 (ページ12)

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第2話　STONE WORLD③ ページ12

パキッと音がした。
何かが割れる音がして、体が自由になった気がした。
ずーっと真っ暗な世界だった私の世界に、懐かしい音と光。

あの日から、石神先輩がしそうなことと脳内先輩の言われた通りに意識をとばさないようにしていた。それが、音と開けた視界を最後に終わりを告げた。風の音と直に肌に感じる温度。

「3700年ぶりじゃねーか、花百合」

『.......一週間だったのが、随分伸びちゃいましたね....』

懐かしい声が聞こえた。
動く自身の体が重力に従い、倒れたと感じた。
地面に倒れることもなく、私の体を懐かしい人が抱き止めてくれていた。
どうやら、3700年も経ったいるらしい。
変わることのないこの正確な日時を言ってくるところとか、全く変わってなくて笑ってしまいそうだ。

先輩は先輩のまま。

口を開いて、視線を上げた。

『お久しぶりです、先輩』

首を動かして見れば、そこにいるたのは久しく見ていなかった白菜みたいな頭。
そして、3700年前から見つめられると目を逸らせられなくなりそうな赤い瞳。記憶にはない両サイドの額から目の下辺りにまでかけてある気になる黒線と服装以外、記憶の中の人と同じ。

石神千空がいた。

「てめぇも、杠と同じ状況だったとはな」

『？どういうことですか......？』

わけがわからず、首を傾げていると先輩はクツクツと笑いながら、後ろに視線を移している。連れて私も後ろを見れば、「お、大きい木」と呟いてしまうほど、後ろに大きなクスノキがあった。

「そのクスノキの根本にお前はいたんだよ」

『え』

この根本に？
私、あの時試合会場にいたはずなんだけどなぁ？
どうやら、私は3700年のうちに水に流されたりと大自然の影響でクスノキの根元にまで来てしまっていたらしいのだ。そのお陰で、私は無事であった部分があるとのこと。

『え、無事、ですか？』

「ああ、状況によっちゃ石像の腕が取れてたかもしれねぇ」

『えっ！？』

「俺が復活した時もそういう石像は見た」

私の体を支えながら、立たせてくれる先輩に御礼を言う。先輩の口から語られたとこにヒヤッとしたものが背中に伝ったのを察してしまった。私の状況が悪ければ、腕やら、手やらがなくなっていた可能性が非常に高いって話だ、これ。ゾワッとして私の体が無事か確認をした。
うん、どこも破損してない。

　