第14話 隠なドジっ子�� ページ49
彼女と出会ったのは、私が柱になる前。
彼女を見て、思ったことはこれ。
ドジっ子だ。
ドジっ子がいる。
『お、おおおっ.....』
前世では、アニメの中でしか見たことがないドジっ子属性が目の前にいるのだ。
任務先での鬼を倒し、隠の人達が後処理をしてくれた後、次の任務先である現場に向かうために、藤ノ家の家紋の家に泊めてもらおうと歩いていた時。鬼の目撃情報があると夜明から聞いた私は、現場に急いで向かったんだけど......、
「ご、ごめんなさいっっっっ！！！！」
隠の格好をした女の子が、転がった状態で叫びながら謝っていて、向かい側にいる鬼の頸ギリギリに木の板(鋭い)がブッ刺さっていて、全身泥だらけ状態......。
『何がどうして、そうなったの？』
とりあえず、鬼は倒しておいた。
──────────
その人は、多分私としのぶと同い年ぐらいかなって人だと思う。そして、今この現場でのいろんな原因である。
「た、助けていただいてありがとうございましたっっ！！」
『う、うん』
隠の彼女は、頭を九十度下げる。
助けてもらったお礼を言われているはずなのに、全く助けた感じもないので、私達の心境は微妙である。鬼と隊士さんを泥だらけにしてしまったのは、この人。
「私、今から現場に行く予定だったんですけど、鬼に追いかけられて、転んで木の板が倒れてきたんです」
『そ、そうなんだ』
「その後、私また転んでしまって」
『(また.....)』
「昨日が雨だったみたいで、近くにあった泥が鬼に綺麗にかかったんです」
その泥は、近所のこどもがイタズラ用になのか桶にたくさん溜めておいてあったそうで、彼女が転んだ拍子にそれが鬼にかかり、木の板(鋭い)が頸ギリギリに刺さった。で、私が来た。
転びすぎじゃないかな、隠さん。
「私、昔からドジばっかりで......先輩達にも、行冥さ.....えっと、岩柱様にも迷惑かけて......」
『岩柱様に？』
「はいっ、私本当にダメなんです」
眉を下げて、困ったように笑う彼女。
「前世から」
『...........え？』
「ﾊｯ)..........あ」
今、なんて言った？
私の耳を疑うような言葉が聞こえて来た。
前世から？
この人、今間違いなく前世からって言わなかった？
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年4月15日 14時
