【鬼滅の刃】そこで見つけた六花ノ景色 (ページ24)

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第7話　え、呼吸の適性ないの？① ページ24

夕げの後、師匠に呼ばれて私は縁側に来た。

内容は知らない。
私が来てから話すのだろうと思っている。

向かった庭には淡い光の蝋燭が見えた。

約束の縁側.....庭に目を向けると庭にも赤に似た橙色に似た炎の灯りがある。

その中央にいたのは師匠だ。
白い着物を少し着崩したような衣服と頭から被るのは薄い布。風が吹く度にヒラヒラと舞う。

着物は前世でいう巫女さんの着ていた巫女装束に似ている気がするし、花嫁さんのウエディングのようなヒラリとした部分もある。全部纏めて「和」であることは変わらないのだけど。

「来ましたね」

『【はい】』

頭から被る顔が少し隠れた布から師匠の表情が見える。
少し化粧をしていて、ほんのりと頬に色が染まり、形のいい唇は控えめに赤くなっている。あくまで白い着物を目立たせているようだ。

「これから見せるのは私の一族に伝わっている舞です」

『【舞.....】』

前世で見たことはないから師匠が舞う舞が初めて見る事になる。

「神楽と呼ばれる事もありますが、基本的に呼び方は舞です。それを今から咲々芽ちゃんに見せ、覚えてもらうわ」

『【なんて？】』

「安心して。ちゃんとできるようになるまで教えるから」

『【いや、聞こえてなかった訳じゃないんですけど.....！】』

聞こえてなかったわけじゃないけど、師匠の一族の大切な舞を弟子の私に伝授するって......なんで？？
代々受け継ぐちゃんとした人がいるんじゃないの？

「私はね、弟子である貴女に......可能性のある貴女に継いでほしいと思っているの」

『【可能性？】』

布から見えた師匠の黒髪が揺れて、彼女の表情はどこか悲しそうに見えた。なんで、そんな表情をしているのかはわからないが、この舞の後に何かがあるのだとそう思えた。

「藤の木も匂いも鬼と戦う手段」

『【師匠？】』

「鬼狩りも日輪刀も鬼と戦う手段。一族の舞は元は大切な人への幸せを願い作られたある少女の思い。.........そして、今は鬼を狩るための少しのきっかけ」

『(きっかけ.....？)』

「...........さあ、舞うわね。咲々芽ちゃん、ちゃんと見ていて？」

『ｺｸﾘ)......【はい】』

音楽が流れるとかそんな始まり方はしない。
自然な息使いから全集中の呼吸へと変わり、それを合図に師匠は舞始めた。

　