第6話 剣士の修行�� ページ21
「改めて貴女の育手をする事になった長宮紅葉です」
『【
私の住んでいた家よりも一回り大きい家に住んでいる紅葉さん(そう呼んでと言われた)。通された家で改めて自己紹介をお互いにした。
「(やっぱり、仁樋って苗字.....)咲々芽ちゃん、ね？」
『【そうです！】』
何かを確認するように言われ、紅葉さんの言葉に不思議に思いながら頷いた。「じゃあ荷物はここに置いてね」と通された居間よりも小さい部屋。ここが私の部屋だそうだ。
荷物と言われても荷物はほぼない。
行く途中で食べてくださいねと渡されたお握りだけだ。
これは後で食べる事になった。
「じゃあ、早速修行を始めます」
『【分かりました！】』
もう？と思ったが、強くなるなら時間は有限。
すぐにでも始めた方が良いのだろう。
「ではこれからこの家から私とあの山を一周します」
『【え？】』
紅葉さん改め師匠が笑顔で後ろにそびえるデカイデカイ山に視線を向けた。言われた事に一瞬「何言ってんだこの美人？」と驚いて瞬きを数回。
「その後、私は一人でこちらに帰って来ますから咲々芽ちゃんは二周を一人でしてきてください」
「【はい？？】」
「驚きますよね？ふふ、冗談ではありませんよ？」
フフっと可愛らしく笑っているが言ってる事はハテナハテナハテナであることをわかっているのだろうか？
え、無理じゃね？
冗談じゃないの？
...........冗談ではないとさっき言われたから本当の事なんだろう.....。冗談が良かった.....。
「ささ、行きますよ」
『【は、はい.....】』
「山を走り終わったら、腕立て伏せ200回、腹筋200回、素振り300回だから」
『【......え？】』
ちょっと何を言っているのか分からなくなってきた。
師匠が嘘を言っていないのはわかっている。
わかっているのだが、冗談よと笑ってくれるとどんなに嬉しいか.....。
『(桁が3ってヤバイ.....)』
できるかな？
絶対ボロボロだよ、ボロボロで山から帰ってきて腕立て伏せ、腹筋、素振り......あ、鬼狩りになる前に私の腕がやられてしまいそうだ(決定事項)。
「ほら？日がくれちゃうよ」
『【い、今行きますっ......！】』
慌てて戸の近くにいる師匠の下に駆け寄った。
頑張るしかないよね、うん。
頑張るんだ私(諦め)。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年4月15日 14時
