【鬼滅の刃】そこで見つけた六花ノ景色 (ページ13)

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第3話　一難去ってまた一難⑤ ページ13

『(見つけた！！)【小芭内さんっっ.....！！】』

屋敷に近付けば、見慣れた黒髪の少年。
小芭内さんだとわかるシルエットに座敷牢から逃げ出せたんだって安堵した。

そして、よく見ればその隣には明るい髪色をした背の高い男の人がいた。あと、なんか小芭内さんに向かって叫ぶ女の子。多分、屋敷にいた人だということはわかるが、全員の顔を覚えてはいないので名前はわからない。何事？と首を傾げながら走っていくと明るい髪色の人に女の子を抱えて止めに入った。

「.......あ」

『【気づいた！小芭内さん！！】』

走ってくる私に気づいた小芭内さんがこちらを見た。
私についてなんて聞かされていたのかはわからないが、目を見開いて信じられないモノをみるような表情をしている。

口元に包帯が巻かれていることに首を傾げながら、帰ってこれたんだと涙が出そうになった。本当にたどり着けて良かった.....！声は届かないけど、それでも走って小芭内さんの元へと目指す。

頭によぎるのは誘拐されて、数時間にも及ぶ変な人との鬼ごっこ。リアルな逃走に何度転びそうになった事か。

「咲々芽！！」

『【良かった抜け出せたんだね！！良かったぁぁぁ.....！！】』

勢いのままこちらに手を広げた小芭内さんにぎゅっと抱きついた。暖かくて、数日前に会った時よりも細くなっていて痩せたかな？って思っちゃう。ご飯食べなかったのかな？そりゃあ、油っぽい食事が毎日出るんだったら無理だよね。私も毎日油っぽいのは無理だ。

「お前、ボロボロだぞっ.....何があったんだ！？」

『【いろいろあった！】』

私のボロボロの格好に小芭内さんが焦った表情をして心配してくれた。いろいろあってすぐに説明はできない。結構濃い内容だと思うからもっと落ち着いた屋根のある場所で話したい。

鏑丸も無事だね？とシュルシュルっと小芭内さんの首から私の蛇元へ移動してきた鏑丸の頭を優しく撫でた。

『【また会えて良かったっ！嬉しいよぉぉ！！】』

「.....っ....ああ....」

ほっとしたらポロポロと両目から涙が流れてきた。彼も私が泣いているのにつられて泣き出してしまった。追いかけ回されても誘拐されても平気だったのに緊張の糸がほどけたんだと思う。

私達は一緒にいた黒服の人に声をかけられるまで、二人揃って泣いたのであった。

　