◇眠る少女に片思い ページ36
真波山岳side
「......湖羽先輩?」
『スゥ......スゥ......』
テストも終わって、夏休みまで数日。
部活をサボって山を登って、部室に行こうとペダルを回した帰り道、同じ学校の制服を着た生徒が木陰に座っていた。
夏になったというのに今日の気温は涼しい。
風も吹いてるから。
後ろ姿が大好きな先輩で、自転車を停めて近づいて行けば思った通り湖羽先輩だった。視線が下に向き、手には本があって読んでいたんだと思う。「先輩!」と声をかけても返事はなくて、隣に行けば小さく寝息を立てていた。
「寝てる」
俺が来たことにも気づかなくて、気持ち良さそうに寝ている湖羽先輩。周りにはいつも一緒にいる千歳先輩やバレー部の人はいない。
「(勉強の時も思ったけど、この人.....やっぱり綺麗な人だなあ)」
クラスでも、湖羽先輩は綺麗で美人と皆言っている。
俺が先輩と話すと羨ましいって言われて、驚いた。湖羽先輩は普通に話しやすいし、話かければ返してくれる人だ。
......多分、告白だってされてると.....思う。
俺が入学してから何回か湖羽先輩が告白されたって話は聞いたことがあった。その度にドキドキして、苦しくて.....、先輩がその人と付き合ったらどうしようって怖くなった。付き合っても先輩は俺とは普通に話す。
それが苦しくて、耐えられなくなるのは俺の方。
『好きな人?いないよ』
先輩が前に言ってた事。先輩に好きな人がいなくて、ホッとして、でも......同時に悲しかった。先輩は誰も好きにはならないんじゃないかって。その事が本当になりそうで嫌だった。
ひゅぅ.....。
「!」
風が吹いて、先輩の髪が揺れる。
無意識に伸ばした手は湖羽先輩の方へ伸びて、ピタリと止めた。
「好き.....って、たった二文字だけなんだけどな」
理由がないとこの人に触れれなくて、たった二文字の言葉も言えなくて、欲しいと思う人はすぐ隣にいるのに遠く感じる。
もう一度強い風が吹いて、先輩の髪に花びらが付く。
それを取ろうとして、止めていた手を伸ばして花びらを掴もうとする。けど.....、花びらを掴む前に湖羽先輩の髪に触れた。
この片思いは俺が思ったよりも苦しい。
でも、先輩と話すだけで簡単に嬉しくなってしまう。
先輩への気持ちを隠して、いつも通り彼女に向かって笑った。
96人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏菜沙(プロフ) - できるだけそうなるようにする予定です!楽しみにしていただけると嬉しいです!! (2022年11月17日 1時) (レス) id: 6b5f9c4200 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 前と同じような展開にはなりますか? 誰とは言いませんがあの2人のカップルが好きだったんです!そして僕とのアドバイス的なのも好きなんです! (2022年11月16日 19時) (レス) id: ff96477080 (このIDを非表示/違反報告)
夏菜沙(プロフ) - 最初から新しい話をいれています。リメイクは間違えて付けてしまいました!気づかせてもらいありがとうございます! (2022年11月16日 17時) (レス) id: 6b5f9c4200 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - どこからリメイクしました? (2022年11月16日 9時) (レス) id: ff96477080 (このIDを非表示/違反報告)
夏菜沙(プロフ) - ありがとうございます!更新できるようにがんばります!! (2022年9月1日 21時) (レス) id: 6b5f9c4200 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年5月1日 14時