◇飴玉に励ましを混ぜて ページ27
入れ終わったのを確認してから、ポケットに手を入れてアレを探す。確か、久しぶりにスーパーで買っておいた奴をポケットに入れておいたはずなんだよねー。モゾモゾと探って、手に感触があり、それを握って外に出す。
『手出してみな』
「?」
座って下を向く葦木場の前に立って、そう声をかければ首をかしげ、不思議そうにしつつ片手を出した。
『これ食べて元気だして』
「!.....飴....?」
『そう、飴。マスカット味』
彼の手のひらに乗せたのは、黄緑色の包みの飴玉。
「もらっていいの!?.....あ、いいですか?」
『うん、いいよ。』
お気に召して下ったようで何よりです。
『私は君じゃないから君の気持ちは分かんない。けど、君が元気ないのは分かるよ。ので、少しでも気分が明るくなるようにそれあげる。食べて気分転換でもしなよ』
「!.....ありがとう、ございます」
『どーいたしまして、だよ』
飴を握る葦木場を見て、まあ少しは元気出たかな?と思い私はスクイズの籠を持ち上げた。歩きだして、体育館に戻ろうと階段(段差)を登ろうとして......つまずいた。
『!!(私って、ドジッ子でしたっけ??)』
スクイズの重さにより、上手く体勢が立て直せなくて踏ん張りもきかない。オッケー、理解。このまま顔面からぶつかるのね。ぎゅっと目を閉じて衝撃に備えて......、
『(あれ?)』
「大丈夫ですか.....!?」
『え』
すぐ近くから声が聞こえて、その声はさっきまで話していた葦木場の声で。私をホールドするように腕が前にあった。「あ、ありがとう.....。葦木場」と御礼を言いながら体勢を立て直した。
「飴の御礼言いたくて」
『そうだったんだ。助けてくれてありがとう。御礼言うのは私だからなー』
飴はただあげたくなっただけだしなぁ。そんなに気にしなくていいのに。「あの、それ持ちます」と言われ、私の手からスクイズの入った籠を取った。
『えっと....?』
「練習しないんですか?」
『あ』
体育館に帰ってくる当初の予定よりも遅くなっている。音菓さん達待ってるんだった。これは....頼むか。葦木場に言ってもスクイズの入った籠貸してくれなさそうだし.....。
『じゃあ、お願いするよ』
「うん」
ニコッと笑ってお願いすれば優しく微笑まれた。
いい後輩君だ。
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夏菜沙(プロフ) - コメントありがとうございます!嬉しいです! (2022年10月1日 0時) (レス) id: 6b5f9c4200 (このIDを非表示/違反報告)
奈々ミン - この作品一番好きなのでこれからも、頑張ってください! (2022年3月19日 16時) (レス) @page42 id: d49fa68ddd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年3月10日 11時