◇君もなれると思ったから ページ29
「倒れた....そっか、お、れ....坂登って....それで家に帰ろうと思って.....」
うっすらとここまでの事がわかるらしい。
てか、この年で坂登ってるんだ。早いな....。
ま、私も小学生くらいからバレー始めたけどね。
「あ、あの....」
『どうしたの?』
「....それ、綺麗....」
真波君の視線の先には私のジャージのポケットから出ている白い羽の形をしたチャームのついたストラップ。ポケットに手を突っ込んでストラップを着けている携帯を出す。ゆらゆら揺れる白い羽のチャーム。
『これのこと?』
「うん。....なんか、お姉さんにピッタリ.....だね....」
『そう?』
「お姉さん....翔べそう....だから....」
少し照れたような表情の真波君に言われた。
″翔べそう″....かあ....。
彼の言った言葉が頭をグルグルする。
千歳も言ってだけど私が翔べるって....何でだ?
......コートでは翔びたいと思うけど......。
『そうかなぁ.....?』
「うん。おれももっと自由に.....登りたいなあ....」
こちらに向けていた顔を天井に移し、憧れるような眼差しの真波君。その瞳にはどこか自分の登る姿を写しているように思う。.....翔べそうだよ....君も....。
『.......君もなれそうだけどね』
「え...?」
携帯についていた白い羽のストラップを外して、真波君の手にのせる。
『これ、君にあげる。......似合うと思うから....』
「え、でも....、お姉さんのでしょ?」
『いいの。私が君にあげたいと思ったんだから....!』
「.....でも....」
悩んでる真波。どうしよう、このストラップを彼にあげたいと思ったからもらってほしいんだけど.....。
『じゃあ、大きくなったら君の走りを見せてよ』
「オレの.....走り....?」
『そ!自由に登れるようになったら見せて!楽しみにしてるからさ....!』
「!....うん!約束するね....!楽しみにしてて....!」
『うん』
ゆっくりと小指を私の方に向けてきた彼に一瞬を首をかしげて、すぐに何をするかわかった。
「絶対に見せるね.....!待ってて....」
『待ってるね』
白い羽のストラップに込めた約束。
この何年間後に私は彼に再会することになるのだが、それはまだ今の私にはわからないこと。
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夏菜沙(プロフ) - 教えてくださりありがとうございます!直させていただきました。 (2022年4月12日 10時) (レス) id: 6b5f9c4200 (このIDを非表示/違反報告)
綴(プロフ) - フォーカーフェイス…ポーカーフェイス?? (2022年3月21日 12時) (レス) @page15 id: cfde1fd93c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年8月25日 19時