◇山岳リザルト ページ26
『.....!(ああ、これ.....)』
たまに見るあの瞬間。試合中、スパイクを決めようと跳んだ瞬間、ボールがコートに落ちる瞬間、長く上がるボールを見上げる瞬間。長く、それでいて時が止まったように、スローモーションに世界が回っているように思える瞬間。
その瞬間が今、目の前に。
私達の目の前で起きている。
『....ッッ....行っけぇぇッッ!!』
「二人ともぉぉ!!!」
あっという間に過ぎる二人。
山岳リザルト前まで、あと少し。
自身の全部をかけて、そのラインの一番をとるために....。
『!!!!』
「!?」
今、一番速く山頂に登った.....、
一番速くラインを越えた.....、
『(......勝負のあの瞬間は.....あっという間なんだ....)』
_________バァァッッ!!!
片方の人影の腕が上に上がった。
クライマーのゴールはいつも同じで、勝者は空を仰ぎ見、敗者は恨めしそうに地面に伏す。.....そう言ってたのは誰だったっけ.....?
......ッッワァァァァァ!!!
歓声が上がる。
山岳リザルトをとったのは.....、
「決まった!山頂は箱学」
「山神東堂だよ!!」
「山岳リザルトは地元神奈川が取ったぞ!」
「『!!!』」
「東堂さんっ!!」
箱根学園の東堂尽八。
尽八が一日目の山岳リザルトをとった。
ポタポタ....。
『.....あ、あれ?なんか....目の前ぼやけるん....だけど...』
「奇遇だね、私も目の前ぼやけてるよ」
「御二人とも、泣いてますよ」
「『やっぱり゛〜?』」
山岳リザルトをとった尽八を見たら、目の前がぼやけ初めて何事かと思った。この事態を隣にいる千歳に言ったら、彼女も私と同じことになってた。はあ....と二人が走れたことにホッとして、地面に膝をついた。ヘナァと座り込んだ隣の千歳。これはちょっとしばらく立てないかも.....ごめん、ちゃんと立つよ。あんまり、目を手で擦るのは良くないんだけど、つい擦ってしまった。奥山君がさりげなく、タオルを渡してくれる。
「使ってください」
「『ありがとう.....』」
奥山君、いつの間にそんな紳士的ないい奴になったんだ。.....元々だったかも知れないけど。ありがたく使わせてもらおう(後日、しっかりと洗って返しました)。
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マシュマロ。 - 月が綺麗ですねって、なんで気付かないんだろ〜〜。私も気付かない気がするけど… (2022年11月26日 17時) (レス) @page13 id: 5bbebede5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年11月20日 0時