排球部エースは転生少女《６》 (ページ5)

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◇左の回転ページ5

『とったって言っても、中一の時だし.....。あ、違う。二年の春休み。宮城に帰った時、若利のスパイク、とった』

「！？この間の春休み！つい最近じゃないですか！」

『そうだね。でも、今は夏。もっと威力が上がってても可笑しくないよ』

壁におっかかりながら、コートをみる湖羽さん。
牛若のスパイクをレシーブ......。

「(やっぱり、湖羽さんはすごいぜっ！！！)」

『若利のスパイクはさ』

「はい？」

『夕が取れるっ！と思った時、多分取れない』

「！？ど、どうしてですか！？」

俺の方をみる湖羽さんは真面目な顔をして、俺に言った。

『回転が違うからだよ』

「回転....」

『若利の利き手は左。左は右手とは違う回転がかかる。そして、普通のスパイクの威力よりも何倍も強い』

人差し指を空中で回し、ボールの回転を表現する湖羽さん。それを見て、中学の時に試合であたった左手のスパイカーを思いだす。あの時はすぐに慣れてレシーブできた。

でも、今回は牛若。
全国五本の指に入るスパイカー。

そんなに甘くない。

『夕、私が左手で打って上げよう！』

「えっ！？」

湖羽さんの提案に驚き、声をあげた。

『去年の夏からちょくちょく練習していてるの。まだまだ威力も弱いし、勿論、若利とは比べ物にならないけど、練習にはなるでしょ？』

「どうする？」と聞いてきた湖羽さんに俺はニィと笑みを浮かべてお願いした。湖羽さんは俺の答えを悪戯っ子のような笑みを浮かべて「了解ー！」と言ってコートに走って行った。

「さっ！こおぉぉぉぉいｯｯ！！！」

スッ。

________バァッ！！！

「とらえっ....！？」

ドガッ。

とらえたと思った。けれど、ボールは上じゃなくて地面に転がってる。右ほどではなかったけど、威力もコントロールもいい。さすが、湖羽さんだ。.....牛若はこれ以上。

『(やば....、コースずれた....！)まだまだ、威力あげないと.....』

コースがずれたのか、悔しそうな湖羽さん。旭さんはサーブ打つ時とは違い、悔しそうな湖羽さんは、悔しそうでも絵になる。昔よりも可愛さが滲み出ている。

『夕！もう一本.....』

「お願いしやッス！！」

『よしきた！！』

湖羽さんとの練習は続く。

　