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外は完全に明かりが射し、廃墟から猩覚に抱き抱えられたまま路地裏を進む。






猩「鬼兵隊の頭」

猩「怒ってたぜェ」






猩覚の言葉に、おもわず寝たふりをしたA。
猩覚の足音だけがしばらく続いた。






猩「…譲ちゃん」

猩「男は嫉妬深い生き物だぜェ」



貴「はァ?ッ…!!!」






塩の匂いが香りだし、先ほどよりも浴びる量が増えた日光。
路地裏を抜けたことが分かると同時に、その瞬間フワフワと感覚が痛みと共に消えた。





貴「ッなんで落とすの!!?」






少し涙になりながら猩覚を睨むが、気にも留めずAを措いていく猩覚はいつの間にか到着していた船へ。
そして入れ違いに、船から誰かが出てきた。






高「世話係ならちゃんと見とけ」



猩「そらァこっちの台詞だ」

猩「手放したくねェならちゃんと見とけ」






すれ違いに離す二人の声は聞こえない。
ただ、その人物が高杉だということは分かったAは慌てて立ち上がった。






貴「…晋助っ、えェっと」






目の前の人物の無言の圧力と冷ややかな目。
思わず沖田から奪った刀を握り締める。






高「なんだ。…その鈍はァ」






伸びてきた手に目を瞑ると、ゆるんだ手から刀が落ちた。






高「今度はちゃんと待ってろ」

高「分かったなァ。…A」






想像とは違った痛みが、数時間前の記憶がリンクする。
唖然とするAに、高杉はAが来た道をなぞる様に歩いていった。








貴「…デコピン?」






"やっぱり2人は似ている"。
そう改めて感じた、Aであった。






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作者名:み子 | 作成日時:2016年7月26日 20時

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