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一頻り思い出話に花を咲かせると、時間はあっという間に過ぎていた。
高「眠てェかァ?」
貴「…ちょっとだけ」
高杉の膝で無防備に目を伏せるA。
そんなAを愛でるように撫でられる高杉の手が更に眠気を誘い、反応が少し遅い。
高「A」
貴「…ん、なァ」
高「ふぅー」
貴「ッ…!!!」
言葉の途中。「ふぅー」なんて柄にも無い陽気な声と共に出たのは、嗅ぎなれたはずの苦い煙。
だがいくら嗅ぎなれているとはいえども、直接気管へと入り込まれては息苦しく不快。
酒で潤んだ瞳が更に増し、少しだけ眉間にしわを寄せ咳き込んだ。
高「ククク、意味分かンねェだろ?」
貴「・・・っ意味?」
高「あァ、でもまァ…」
高「今回は見逃してやらァ」
なんて意味ありげな笑みを見せて、クシャクシャとAの前髪を撫でる。
高杉は器用に煙管を咥えたまま、空いた両手でAを立たせた。
貴「送ってくれるの?」
高「あァ、」
高「俺も風に辺りてェからなァ」
結局、疑問を残したまま部屋を後にする。
決して長くは無い道中。宇宙の夜でも少し寒く感じた。
貴「うん、・・・ありがと」
掴まれた手を強く握り替えた。
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作者名:み子 | 作成日時:2016年7月26日 20時