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Aがダイエット(推測)を始めてから早1週間。
アレから黒葉からの報告はなく気が気じゃない俺は、どこからか聞こえた爆発音の様子も「日常茶飯事」と思い、さほど気に留めなかった。
猩「やっぱりやりたい事はやらせるべきだよなァ」
猩「でも、…本当に必要なことかァ?」
阿「知らねェ」
もう何回目か分からないやりとりに阿伏兎は眉間を押さえる。
猩「確かに飯も食わねぇし」
猩「最近お宅の団長と密会してるみてぇだし」
阿「密会言うな。ただ手合わせしてるだけだろ」
猩「あぁ〜、やるならやるで相談して欲しかったァ」
猩「そしたら俺が食から筋トレまでメニューとか考えたしよ」
阿「調べたのか?」
猩「あぁ。"地球人 ダイエット"で」
阿「はァ、やっかいな奴に好かれたなァ〜。嬢ちゃんも」
貴「ほんとよねェ」
ガタッ――― --
猩「A!!!」
期待してなかった声。と、
猩「お前らまで何でここにいるわけ?」
神「俺が聞きたいよ」
貴「私が呼んだのよ」
ほんのり青筋が見えるAの額は怒ってるように見えた。
貴「怒ってるようにじゃないわ」
貴「怒ってるのよ」
貴「まったくあんた達ときたら」
目の位置まで伸びた前髪をかき上げる仕草に、「あぁ、大人っぽくなった」なんて、のん気に思う猩覚。
そんな猩覚をAが見逃すはずもなく、勢いよく猩覚の頬を両手で挟んだ。
ふわりと白い毛が舞う。
貴「まず猩覚さん」
貴「心配しすぎ」
貴「私、もう24歳よ?」
貴「ダイエットだって何度もやってるし」
貴「自分にあった適切なやり方もしてる」
そのままAは揉む様に猩覚の動物的頬を触り続けた。
その姿はさながら、飼い主とペットのようで。阿伏兎は噴出す。
貴「それに、ダイエットって誰かの為じゃなくて」
貴「自分の為にするものよ」
貴「大げさに聞こえるかもだけど」
貴「自分が納得した姿なることで自信がもてる」
貴「そうするとほんの少しだけ生きやすくなるの」
話していくにつれ、どんどん柔らかくなるAの声色。
貴「そらァ心配してくれた猩覚さんを」
貴「避けたのはごめんなさい」
コテンと首を傾げたAに、誰しもが可愛いと思うに違いない。
もちろん。目の前で見た猩覚も同様に解けた口から愛しそうに言う。
猩「俺も、...悪かった」
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作者名:み子 | 作成日時:2017年7月13日 20時