17*（地球 2） ページ1
.
目を覚ますと宇宙では珍しいし光が顔に掛かっていて、「起きたかァ」。と心地意声が聞こえた。
呆然とする頭でゆっくり体を後ろに向けると、高杉が隣にふわりと座る。
良く見ると此処は高杉の部屋だ。
貴「…晋助」
高「相変わらず泣き虫だなァ」
乾いた頬がまた濡れだし、額に触れるだけのキスをし止める。
昔からAの涙を止めるにはこれが一番だが、変わりに自分が泣きたくなる気持ちになるのは内緒だ。
貴「ん、もう、…大丈夫だから」
それでも自然な笑みを見せてくれるのだから、今回はとりあえず安楽の息を吐いた。
高「A、早々で悪ィが」
高「俺はこれから、私用で出る」
貴「あァ、うん」
高「お前はどうする？」
貴「んー、私も出ようかなァ」
貴「色々買わなくちゃねェ」
高「下の奴等に言やァ用意してくれるぜ？」
顔を横に振り、「自分で選びたいから大丈夫」だと告げる。
すると高杉が「そうかァ」と、ズシっとした巾着を取り出し、Aの前に置いた。
貴「別によかったのに」
高「まァ、慰謝料だと思って取っておけ」
高「お前に断り無く連れて来ちまったからなァ」
ジャラジャラジャリジャリとした下品な音。
申し訳無さそうに言う高杉を見て、当たり前だが申し訳ない気持ちになる。
貴「…晋助は何も悪くないよ」
高「だが、」
貴「でも、そうだなァ」
貴「もし帰ってきてもまだ気持ちが晴れなかったら」
貴「…もう一度、キスしてよ」
だがいくら気持ちに蟠りが在ったとしても、それでも高杉に甘えてしまうのは、Aは高杉の事を何時までもたっても、”兄”のように慕っているからだ。
高「あァ、いつだってしてやらァ」
高杉にとっては残酷な事実だとは知らずに。
.
．
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 109人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：み子。 | 作成日時：2017年1月23日 17時
