50p.明日、話そう。 ページ5
自室に入ると消してあった部屋の照明が点いており
いつも使っている寝具に座って片足を組みながら今月号のゴロゴロコミックを片手に持って読み耽っている眼鏡を掛けた犬神の姿がそこに居た
その姿は様になっていて何処か気品があり何だか格好良く思えた
僕の存在に気付いた犬神は一瞬、コチラを見て確認すると「おかえりなさい」と言って、ゴロゴロコミックの方へとまた視線を落とす
どうしよう……犬神に対する距離感がわからない……！
まずこの犬神は学校内で出会った犬神じゃないよな？僕の知る犬神だよな？助けてくれ虫歯伯爵……！と思いながら僕は犬神に声をかけた
A「ただいま。えっと、どう？面白い？」
犬神は読んでいたゴロゴロコミックをパタンと音を立てて閉じ、掛けていた眼鏡を外して静かに息を吐くと「まぁ、そうですね」と口を開く
犬神「時間を潰すのには丁度良いぐらいですかね」
あぁ、それと＿＿＿と犬神が立ち上がりながら呟くと何かを僕の方に軽く投げ渡す
危ないなと思いながらも投げられた物を上手く受け取り確認する
これは僕の携帯電話だ
何で犬神が持っているのか問いただそうと口を開けた瞬間、いきなり僕の方に顔を近づけたと思ったら両腕を掴みスンスンと首元などの匂いを嗅ぐ
いったい何だ？！とその行動に困惑する僕の心臓が一瞬大きく跳ねた
匂いを嗅ぎ終えたのか僕から少し距離を置くと少し考える仕草をして一言「何か甘い物を口にしました？」と聞いてきた
A「は？甘い物？いや食べてないけど＿＿＿っていやまず何で僕の携帯を？」
犬神「トンネル内での忘れ物ですよ」
トンネル？そんな所に行ったけ？と思いながら僕は自分の記憶を探る
あぁ、そういえば爺ちゃんを探しに行った時にトンネルに入ったなと余り思い出したくない記憶を思い出し気分が落ちこむ
……あんな怖い思いはもうしたくない
犬神「明日は学校でしょう。もう眠りなさい」
そう促され僕は素直にベッドの中へ入ると空いているスペースに犬神は腰を下ろした。
犬神は僕のお腹辺りに手を置いて幼子をあやすようにトントンと一定のリズムで軽く叩く
そんなんで寝るほど子供じゃないんだぞと言おうとしたが学校での出来事で疲れが来たのかウトウトとし始める
叩くのを止めろと言う気力も無くなり何だかどうでも良くなって僕は静かに目を閉じた
今日あった事を犬神に話すのは明日にしよう
今の僕にはこの眠気には勝てない。
その晩、夢を見た
僕がまだ幼かった時の懐かしい夢を
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 37人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソルべ(プロフ) - あめらぴさん» 評価やコメントなど誠にありがとうございます。好きと言われて嬉しい限りです！執筆の励みとなり、次をなるべく早く上げれるように頑張りますね。 (2022年7月29日 2時) (
レス) id: c758b8aa54 (このIDを非表示/違反報告)
あめらぴ(プロフ) - 夜遅くに突然すみません。好きです。物語の展開から主人公の心情、恐怖の感覚や焦燥が本当にお上手に書かれていて一気読みしてしまいました…キャラの口調も性格を理解した上でのもうに見えて、もうなんか凄く好きです……… (2022年7月28日 2時) (レス) @page6 id: 0688156f54 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
