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し「っ…、でも、俺今言われたんよ……。会わないでくれって……」
さ「…Aが言ったん?」
し「ちゃう。……俺のことを考えると、…激しい頭痛が来るんやって……。…看護師さんから聞いた。」
さ「……そか。」
さ「………でも、逢わへんの?…俺と一緒は、ダメなんかな…。」
し「…わからん。」
さ「……これだけでも届けようかな。」
ふと、顔を上げ、坂田が持っているものを見た。
それはひとつのカゴに入っている、Aが最も大好きなメロンが二つ、二番目に好きな真っ赤な林檎が三つほどと、色々な果物が入っていた。
し「…Aが好きな果物やん。」
ちょっと前までの俺とAで、林檎を買うためにわざわざ青森まで行ったね。
そうやって、昔の記憶が戻ってくる。
Aと楽しかった日々に、視界がぼやけ始めた。
し「……ふっ…、ひぐっ…」
さ「……俺も泣きたいけど、泣けれんわ……。……まず届けよか。」
し「……涙が引いてからで、ええ?」
さ「…おん。」
前向きに考えんと。このままじゃダメだ。
そう心の中で言い聞かせた。
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作者名:AI-アイ- x他1人 | 作成日時:2019年9月6日 23時