【歌い手】頑張りすぎな姉の話【天月】 (ページ11)

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そらるside

天月のスタッフから歌い手のグループに連絡があったのは昼前の事だ。

天月スタッフどなたか天月さんの行方を知りませんか?

そんな簡単なメッセージ。
誰かと遊んでそのまま他の家で寝てたり、
携帯の充電すら忘れて遊んでたり。

そういう事が多々ある俺たちはこうやって誰かが居なくなったら連絡グループで情報を集めるのが日常だ。

天月スタッフ本日リハーサルなのですが、連絡がとれません。
まふまふ昨日ラーメン一緒に食べました。
その後は普通に家に帰ったので寝てるかも?
天月スタッフ家にも居ないようでして…。
そらるあ、俺今朝○○公園付近で天月見ました。
そらるでもすぐどっか行っちゃって。
天月スタッフご協力ありがとうございます!!

こんなやり取りから数時間後、また同じグループに連絡が入る。

天月スタッフすみません、まだ見つかっておらず…。
どなたかその後見掛けた方はいらっしゃいますか?
センラ結構時間経って居らんのは心配やな。
まふまふ僕もちょっと探してみますね。
そらる俺も作業終わったので街中の方探してみます。
天月スタッフよろしくお願いします。

と、まぁこんな感じで。
天月捜索大作戦が始まったわけ。

で、ようやく見つけたと思ったら今朝のままの格好。

天月にしては珍しく上下不揃いな服にマスクも眼鏡も帽子すら被ってない、変装のへの字もない天月。
髪の毛もぼさぼさで、なんなら服も少し汚れていて。

どうしたんだよ。
どうしてそんな、この世の終わりのような顔をしているんだ。

「天月！！！」

「そらる、さん…？」

声を掛けたらこちらに駆け寄ってきた。
少し話せば天月は黙って下を向いてしまう。

その姿は、普段の元気なお前はどこにいったんだよって位弱く見えた。

「朝ちゃんと聞けなくてごめんな。姉ちゃん、どうした。」

お前がそんな姿で弱ってるのはその姉ちゃんが関係してるんだろ。
俺面倒なことは好きじゃないんだけどな。
でもさ、そんくらい頼れよ。数少ない年上の頼れるお兄さんやらせろよ。

そんな気持ちで天月の頭を撫でれば、目に涙を貯めて俺を見る。

驚いたような、でも安心したような。
そんな顔で天月は喋りだした。