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「…殺せたのか？」
「…はい」
ヴァリアーの専用のジェット機の中で、差し出されたタオルを受け取り返り血で汚れた貌や手を拭いた
その際にやはり視界に入るのが左腕の刺青
まじまじと見ては右手でなぞる、まだ拭ききれていない血が滲むがそんなことは全く気にならなかった
「…本当に、…」
果てしなく遠いものだと思っていた、限りなく自分には似合わないものだと思っている
自分は、この刺青を継ぐには、キャバッローネの先頭に立つには、ふさわしくないと分かっている
「…どう？キャバッローネのボスになった感想は？」
ベルがAの座る座席に寄りかかり、顔を覗き込むようにして問う
Aはベルの方を見やり、少し困ったような顔をしたあと、再び刺青に視線を戻した
「…？…まだ自覚が持てないか」
「…そうかもしれないです」
分からなくて当然だったのかもしれない
自分が住むべき土地を離れ、自分が守る人々との交流を絶ち、ファミリーなんてものを持ち合わせていないAには、ボスになったからといってどうすればいいかなんて分からなかった
自覚なんてものはどうしたって得られないものだった
自分の置かれている状況なんて、理解できるはずがない
今わかることなんて、過去に自分が得ていた情報のみ
キャバッローネで自分が必要とされていないこと、父は自分を望んでいないことは知っていた
「…残念ながら、私には仲間がいませんからね」
今、Aに必要なのは周りの助けだった
だがAにはその仲間がいなかった、
一緒に苦境を乗り越える友も、同じ野望を持って突き進む部下も、
帰る家さえも
「…私がボスなんて、…」
なんとも滑稽な話だろうか
仲間もいない自分がファミリーの頂点だなんて
誰の話を聞いて、誰に支持を出せというのか
それでもこの腕の業は色濃く残り、中身までも作り替えられたような
きのうまでここにあった自分が失われてしまったような
そんな喪失感
目の前の光が消えたような
「…私は関係ない。なんて言ったら父は怒りますかね」
その業に慄きそうになるとき、光を見失いかけたとき、あの日の決意を思い出してはいつものごとく、胸にさげた鍵を握りしめていた
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あいちか(プロフ) - 玲雪さん» はじめまして、いつもこの作品を読んでいただいてるということでありがとうございます、玲雪さんのようなコメントを頂けることはとても励みになりますので、これからもよろしくお願いします。 (2016年10月30日 10時) (
レス) id: 4b1aefde64 (このIDを非表示/違反報告)
あいちか(プロフ) - アキラさん» いつもコメントありがとうございます、やはり定職についてからの定期的な更新は難しくなっていますがやめる気は到底ないのでこれからもよろしくお願いします。 (2016年10月30日 10時) (レス) id: 4b1aefde64 (このIDを非表示/違反報告)
玲雪(プロフ) - はじめまして！いつも読ませていただいてます！この作品大好きです！更新頑張って下さい！！ (2016年10月18日 19時) (レス) id: 898d277df4 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - もうどんどん話が更新されて続きの話が気になってワクワクしてます！！これからも更新頑張ってください (2016年10月12日 0時) (レス) id: d018642a1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいちか | 作成日時：2016年10月10日 22時
