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「…こんな街だったかな」
なにもかもが知らない街に見えた
それは月日のせいか、季節のせいか
随分と冷たい印象に思えた
街ですれ違う人は誰一人とぢて知らない人だった
それはきっと向こうも同じ
自分はきっとよそ者に見えているのだろう
まずはどこへ行けばいいのだろうか
「…」
困り果てて顔をあげればここはキャバッローネ邸へと続く道だった
やはり忘れられないものなのだ
知らん顔をしようとしたって、きっといつまでも自分にまとわりついて離れようとしない
Aは意を決して、キャバッローネ邸へと続く道へ
しかし、近づくにつれて不安にかられた
正面からいっていいものなのだろうか？
自分の姿を見て、誰かわかるのだろうか？
受け入れてもらえるのだろうか？
「…」
急にこわくなったAはキャバッローネ邸の門をくぐらず、裏へ回った
もとは自分の家なのだ、勝手くらいわかる
裏門はとくに自分の部屋が近くて、塀の高さも今のAなら楽々と越えられる
塀を飛び越え、邸宅の屋根へと飛び乗った
付近の部下に気を配りながらも誰にも見つからないまま、
どうにか父の書斎にあたる部屋の窓まで来た
そっと中を覗いてみるが誰もいなかった
それはそうかと心がうなずいた
倒れた。と聞いて戻ってきたのだ
その父がここにいては、困るのだ
もう一度中をのぞいてみる
あまりに生活感のない書斎だった
キチっと位置を整えられた書類や、ぴったりととじられた引き出し
扉はがっしりと閉められていて人の侵入を拒んでいるかのようだった
やはり父はここにはいないのだ
そのことになぜか安心したAはその場を離れ、
次は自分の部屋が見える窓へと向かった
鍵は自分で持っている、あの日から変わらず首に下げられたまま
でも不安だった
こじ開けられていたら、
はたまたあの手紙がささったままだったら、
『誰も自分に興味がなかったら？』
そこまで考えて気づいた
自分に気づいてほしがっている自分がいる？
誰かに呼び止めてほしがっているのか？
そこで突然の劣等感に襲われた
これではまるで、
何も変わっていないじゃないか
まだ自分を捨て切れていなかったのだ
本当は誰かに止めてほしかったのだ
「頑張らなくていい」と言ってくれる誰かをずっと欲していたなんて
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あいちか(プロフ) - 玲雪さん» はじめまして、いつもこの作品を読んでいただいてるということでありがとうございます、玲雪さんのようなコメントを頂けることはとても励みになりますので、これからもよろしくお願いします。 (2016年10月30日 10時) (
レス) id: 4b1aefde64 (このIDを非表示/違反報告)
あいちか(プロフ) - アキラさん» いつもコメントありがとうございます、やはり定職についてからの定期的な更新は難しくなっていますがやめる気は到底ないのでこれからもよろしくお願いします。 (2016年10月30日 10時) (レス) id: 4b1aefde64 (このIDを非表示/違反報告)
玲雪(プロフ) - はじめまして！いつも読ませていただいてます！この作品大好きです！更新頑張って下さい！！ (2016年10月18日 19時) (レス) id: 898d277df4 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - もうどんどん話が更新されて続きの話が気になってワクワクしてます！！これからも更新頑張ってください (2016年10月12日 0時) (レス) id: d018642a1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいちか | 作成日時：2016年10月10日 22時
