stage11 ページ11
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その言葉に、君は異様な嫌悪感を滲ませ顔をしかめる
何か戸惑っているのか困惑しているのか、僕を警戒していることだけはすごくよく分かる
警戒するのは、僕の考えが分からないから？
それとも何か秘密でもあるのかな？
出来れば後者であってほしい
心のどこかで自分がそんなことを望んでいる
ようやく抜け出した退屈な日々には戻りたくない、
出来ることならこのままずっと、君とこの時間を延々に巡っていたい
「…君は馬鹿ではないよね、そして今更馬鹿なふりも出来ないよね」
「…」
「答えてよ」
緊張の糸がピン…とはられ、空気が張り詰める
なんだか僕まで緊張しているみたいだ
答えを急かして強請って焦らせようと思っていたのに、ﾄﾞｸﾄﾞｸ…と胸の奥底から身体中に脈打つ鼓動にいつしか自分まで拳に力が籠り、唾を飲み込む音さえも許されないような気がした
「…意味が分かりません」
「ん？」
「意味が分からないと言ったんです、…8兆回…？一体どういう…」
8兆回が何を意味するか分からないかい？
その途方もないほど大きな数字はね、僕が世界を征服した回数なんだよ
そして君を捜して数多ある
初めは世の中がつまんなかったから世界を征服した
やがてトゥリニセッテコレクションなるものを知り、それがあればこの世界の神様にもなれるんじゃないかと思いおよそ8兆回、世界を征服して、何度も同じ
君はそんな中で見つけた僕の希望なのさ
終わらない退屈な無限ループの
「…君と出会ってから、僕は生まれて初めて後悔したんだ」
「…」
「君のような面白い子を今まで見つけてこれなかった僕自身をね、だから君を捜しに色んな
「…」
「でも君を見つけられないんだ」
右を見ても左を見ても、それこそ
「君はどこにもいないんだよ」
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作者名：あいちか | 作成日時：2020年9月12日 21時
