stage1 ページ1
「んー…」
ミルフィオーレの基地のどこかから、ため息交じりの声がする
それはミルフィオーレを率いる若きボス、白蘭もものだった
彼はガラス張りのテーブルの上に並べた複数のリング、即ちトゥリニセッテコレクションを時折、指でつつき、そして頬杖ついて今度は重い溜息を吐いた
「(…世界征服はもう何度もしてきたのに、どうしてこれは力を発揮しないんだろう)」
誰に問う訳もない問いが自分の心の中で沸いては消え、沸いては消えを繰り返す
この瞬間だけじゃない、
もう幾度となく、それこそ攻略法も分からないまま、こうして悩む回数は銀河の星の数などとっくに超えている
いくら数をこなしても、どうパターンを変えて
しばしトゥリニセッテコレクションを眺めてぼーっとするも、答えは出ない
こういうものって普通のゲームで言うなら、【並べ方に決まりがある】とか、【もう一つ何かアイテムを手に入れなきゃいけない】とか、【そのような力を持った人が呪文を唱える】とか言うのが定石だけど、
そういったことを試そうにも、どの世界にもそんな情報も例もないから、正直言ってお手上げ状態
そうなってくると段々考えているのが馬鹿らしくなってきて、「やれやれ」と一息ついて立ち上がる
こんな時は気分転換をしよう
何か甘いものを食べて、そして何か面白いことをする
そうすれば不意に何かヒントが見つかるかも
思い立つとすぐさま立ち上がり、トゥリニセッテコレクションには背を向けて部屋を後にする
白蘭が立ち去った部屋にはトゥリニセッテコレクションが乱雑に散りばめられ、無機質な照明の元で、なんとも寂しげに佇んでいた
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作者名：あいちか | 作成日時：2020年9月12日 21時
