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其の捌 予兆 ページ9

中王区──現在日本の政治の中枢機関の殆どを有する、高く聳える壁により外界と隔絶された女の街。

統治は専ら現与党である言の葉党党首東方天乙統女が行っている。

そして最近言の葉党、つまりは政府上層部で異能力者に対する“措置”について話が挙がっていると云う。

唯の噂話だと敦は思ったが、美妙が云うには如何やら此の話の情報源は異能特務課だそうで、嘘ではなさそうだ。

内務省異能特務課は表向きには存在しない事になっている異能秘密組織である。此の国の異能力関連の事柄は全て彼等が統括、監視、取り締まっている。

敦の背に嫌な汗が流れる。
『明暗古書堂』はたった四人で構成された異能集団である。話を訊くだけでは唯の零細集団であるが、組織を構成する四人全員が異能力者であり、各構成員が相当な強者(つわもの)だと噂される。其の実力からだろうか、古書堂はこのヨコハマでどの組織にも属さず中立を維持している。

そんな集団の(トップ)である美妙に、全国の異能を統括する異能特務課が話を持ち掛けた。

「近々異能特務課は探偵社、マフィアの(トップ)古書堂店主()、其れから最近警備会社の代表に就任した前組合(ギルド)団長を交えた機密会議を行うつもりだ。もう時期各団体にも連絡が入るだろう」

「そんな……其れじゃあまた闘争が……!」
「起こる!……とは言い切れないが、まあ穏便に事が進んでいたなら会議なんて必要無かっただろうし」

美妙は目を伏せて溜息を吐く。物憂そうな表情をしていた訳だ、と納得せざるを得ない。

「まあ話を戻すと、人探しをしている三人組の話は訊いてたんだよ。何でもうちの店員が聞き込みされたんだ」

知らないって云ったみたいだけど、と呑気に話す。

「其れで、周りの人が騒いでいたから何かと思って調べたらしい」

美妙は自身の携帯端末(スマートフォン)で何かを検索にかけると、敦に見せた。

沢山の観客の中心、目立つ舞台(ステエジ)の上で拡声器(マイクロフォン)を構え、三人ずつ対になる六人の男達。

其の内三人は敦も見覚えがあった。

「如何やら有名人らしい」

写真の表題には、『ディビジョンラップバトル』とあった。

其の玖 一般人と異能力者→←其の漆 夏目の血



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作者名:耐熱ガラス | 作成日時:2020年3月15日 17時

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