41 引手茶屋 ページ46
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はい皆様
ここで
引手茶屋についてちょっと説明させてくださいませ。
茶屋っていうけど
お茶やお団子を食べる所じゃありません。
簡単に言ってしまえば
引手茶屋って言うのは待ち合わせ場所って感じかな？
あのね
吉原の常連さんはね
いきなりお目当ての遊女の所に行くなんて
野暮なことはしないんだって。
まずは
吉原のど真ん中を突っ切る大通り・仲の町の引手茶屋にあがり
店の者に
馴染みの花魁の名を告げて呼び出してもらうのです。
んで
お酒をちょっといただきつつ
のんびり待ってたら
そのうち
目出度くお目当ての花魁が
禿や新造(下級遊女)を引き連れやって来るんだけど
「よっしゃ、すぐに床入り！」
な〜んて
がっついたことはいたしません。
酒をちびちびやりながら
きれいどころを侍らせておしゃべりしたり
手遊びなんかしたりして
楽しい時間をしばし過ごすのです。
そんで
そろそろ日も暮れかかってきたな〜って頃に
ようやっと
お馴染みさんは
花魁や引手茶屋の若い者などに案内されて
妓楼に向かうんだけど･･
これって
今で言うところの『同伴出勤』じゃね？！
この妓楼に向かうまでの『同伴出勤』のど派手バージョンが
花魁道中ってやつなんですわ。
さて
そんな風に引手茶屋っていう店は使われるんだけど
ここ『風間屋』は
そんな茶屋の中でも
かーなーり、上級ランクに位置していると言えます。
だって
店自体はこぢんまりとしているのだが
一部屋一部屋のしつらえが全部違うし
どっかオシャレなのよね。
その上
一見さんお断りで
遊び慣れた人たちばかりが来るので
店の雰囲気がしっとり落ち着いているんです。
それもこれも
主人・風間の細やかな心配りが行き届いているからなんだけど
この風間
実は
ちょっと変わり種で
見るからに人の良さそうな顔をしているが
元は養生所の医師という意外な経歴の持ち主なのだ。
10代の頃から長崎に遊学し
オランダ人医師に西洋医学を学んだ腕の良い医者だったのだが
ひょんなことから
二宮と仲良くなったのが運の尽き。
二宮の口車に上手いこと乗せられて
ふと気がつけば
今は大野屋の口添えもあって
引手茶屋の主人兼みやびのかかりつけ医である。
もちろん
この風間は
みやびの秘密を知っている数少ないうちの一人だ。
･･って
おしゃべりがすぎましたかな？
それでは
お話を元に戻しましょう。
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作者名：はっしー
作成日時：2018年5月16日 0時
