花笑みのきみ (ページ34)

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29　ためらう潤之進ページ34

「いやいやいや、それはさすがに･･」

自分の顔の前で手を振って
ないないと言う潤之進に
おツル婆ぁは

「頼むよ、潤坊！
こんな婆ぁに触られるより
お前みたいな綺麗な奴に触られる方が
この子だって良いに決まってるよ！」

真剣そのものだ。

「もしも、この子が女の子だったとしても
世間様を賑わす人気者のお前に触られるんなら
まぁ、この子も堪えてくれるだろう。
この子が男の子だったとしても
触ったって男同士なんだからいーじゃねーか。
何の問題もねえだろ？」

おツル婆ぁはどこまでも強気だ。

「そんなにしてまで確かめなくても･･っ！」

と言いかける潤之進の言葉を
おツル婆ぁは

「グダグダうるさいね！」

と遮った。

「この子が男なのか女なのか、私が知りたいんだよ！」

なんとも手前勝手な論理だが

「潤坊、お前だってちっとは気になるだろ？」

と
いたずらっぽく片目をつぶったおツル婆ぁに言われると
潤之進だって

「･･ん、まぁ、ね？」

と
同意してしまう。

じゃあ決まり！
と
にんまり笑ったおツル婆ぁに

「さぁ早く、ちゃっちゃとやっとくれ！」

背中を小突かれた潤之進は
え～･･とか言いながらも
眠りこける少女の足下ににじり寄った。

「･･ちょいと、ごめんよ？」

小さく声をかけると
潤之進は
すんなり伸びた少女の細い足を隠している
着物の裾に手をかけた。

ソロソロと着物の裾を割っていくと
現れてくるのは
少女の細いふくらはぎ･･

ゴクリ･･

思わず知らず生唾を飲み込んでしまう潤之進。

裾をつまんでちょいと持ち上げると
きちんと並んだ小さな膝頭が見え
それがなんともいじらしくて
思わず
潤之進の手が止まった。

が

ためらう潤之進の背中に

「さっさとしやがれ！目ぇ覚ましちまうだろ！」

おツル婆ぁが
するどい肘鉄を食らわせる。

確かにおツル婆ぁの言うとおりだ。
こんな状態で
目を覚まされた日には
潤之進は
めちゃくちゃ怪しい奴でしかない。

面倒なことは、さっさとすましてしまおう！
と
ようやく観念した潤之進は
ギュッと唇を噛みしめ
着物の奥に思い切って右手を差し入れた。

潤之進の指先が
少女の柔らかな太ももにそって
ゆっくり這い上がっていく。

ぴく･･

少女の体が
かすかに震え
唇がほんの少しだけ開き

「････っ･･」

熱い吐息が漏れる。

ただそれだけなのに
潤之進の体の芯が、じわりと熱くなる。