28 確かめてみなよ ページ33
「･･っ？！」
潤之進は
元々でっかい目をさらにでっかく見開いて
隣で立て膝をしているおツル婆ぁを
ガバッと振り返った。
振り返った所には
おツル婆ぁの黄ばんだ三白眼が待っていた。
お互いの目を見れば
何も言わなくても
二人が思っていることは同じだと分かる。
先に口を開いたのは
潤之進の方だった。
眠り続ける少女を指さして
潤之進が
「む･･、胸が･･、ないっっ･･！」
と呟くと
おツル婆ぁが神妙な顔で
自分の胸を両手で押さえコクンと頷く。
「こんな婆ぁなら、垂れちまったんだな、で済む話だけどよ･･。」
おツル婆ぁの言葉に
潤之進は、むぅっと唸った。
「発育が遅い娘も、いるだろうが･･」
これは
胸が小さめ、ということで済ませられる話ではないような気がする。
もしかして
この少女は････？
と
潤之進が心の中で自問していると
「なぁ潤坊、･･この子、本当に、女の子かえ？」
おツル婆ぁが
まさに潤之進が思っていたことを
ポツリとこぼした。
･･沈黙
黙って
目と目を見交わす潤之進とおツル婆ぁ。
ごくり･･
と生唾を飲み込んでから
潤之進が
「いや･･、どっからどう見ても
この子は女の子にしか見えない。」
と言うと
おツル婆ぁは
「分かんねえよ？」
そう切り出したんだが
いったん喋りだしたら勢いがついたみたいで
「ほら、お前がやってる歌舞伎でも
男が女の役やったりするじゃねーか。
今、売り出しの･･
えーっと、ほら、何ていったっけか？
あの女形･･
んーっと･･、あっ、そうそう！
伊乃尾とかいう奴！
あいつも、まるで女にしか見えないけど男なんだろ？」
一人、興奮気味にべらべら喋った。
あ〜･･、伊乃尾ね？
確かにあいつも
ぱっと見、女に見間違えるぐらい綺麗だが
所詮、あいつのは化粧の力で化けてるに過ぎない。
それに比べて
この子は･･
化粧っ気は全くなくて、すっぴん素肌。
まさに
まっさら天然の少女！
･･にしか見えない。
眉根を寄せて惑悩する潤之進に
おツル婆ぁが
ずいっと膝を寄せてきて
「なぁ潤坊、ちょいとお前、確かめてみなよ。」
と囁いた。
「えっ？確かめる？」
潤之進が問い返すと
おツル婆ぁは
「この子の股を、ポンポンと
軽〜く触ってみなってんだよ。」
と大真面目な顔で言った。
なんと大胆な提案だろう！
「えぇっ？！」
と怯む潤之進。
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作者名：はっしー
作成日時：2018年5月16日 0時
