138 闇社会 ページ48
店から出ると
当然のことながら
さっきの白い車はもうとっくに通り過ぎており
その後ろ姿すら見えなかった。
しかし
植野と櫻井は
車が走り去った方向へと歩き出した。
歩きながら植野は
櫻井からさっき聞いた車のケツ番と車種をすぐに署に連絡をして
持ち主の割り出しを依頼した。
携帯を切るなり
植野は
櫻井に自分の考えを説明しだした。
「私が思うに･･
その白い車はこの辺りをグルグル回って
何かを待っているんだと思う。」
「何かって、なんスか？」
「さぁ？それはまだ分からない。
誰かと待ち合わせしてるのかもしれないし
何か、ヤバい物を売買する相手かもしれない。」
植野の言葉に
櫻井の顔に緊張が走る。
「ヤバい物って‥？」
車道を横目で見ながら
植野が
あっさりこう言った。
「例えば、薬とかね。」
えっ！と言ったっきり
櫻井が棒立ちに立ち止まった。
「いやいや、植野さん
それはないでしょ？
だって、まだこんな明るいんですよ？
路上で販売するんなら
夜、もっと暗くなってからじゃないんすか？」
植野は
くるっと振り返るなり
櫻井の胸元を乱暴にわしづかみにした。
「あなたね
薬の依存患者の低年齢化が
最近ものすごい勢いで進んでるのは当然知ってるわよね？」
鼻の頭がぶつかるぐらいの至近距離で
植野が
ドスの利いた声でそう呟く。
「‥ひゃ、ひゃい･･っ。」
そのド迫力に
櫻井の声はひっくり返ってしまった。
「最近はね
学校でも家庭でも何の問題もないようなふっつーの子が
軽い気持ちで薬に手を出してるの。」
コクコクと頷くしかできない櫻井。
「そんな子が
夜中、お家を抜け出して買いに行ける？」
「い、･･行けましぇん。」
「ネットで買うのも手軽だけど
購入履歴や配送記録が残るからあとあと面倒。
売る側もサイトをしょっちゅう変えないと足がつくからね
何かとめんどくさい。
それよりも
ごく少量をパパッと売る方が手軽って考える手合いもいるのよ。
最初はちょっぴりだけ
お小遣いで買える程度の金額で売りつける。
そんなの全然儲けにもならないだろうけど
最終的にハマってくれたらこっちのものって感じ？
あっという間に
子どもたちは薬漬けにされて
闇社会の資金源になっていくのよ！」
ふんっと鼻息も荒く
植野は
掴んでいた櫻井のシャツを離した。
植野と櫻井では
なんといっても経験値が違う。
櫻井は
自分の見識のなさに恥じ入りながら
黙り込んでしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 177人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はっしー(プロフ) - けめさん» けめちゃん、剛くんを助けてくれる救世主が次の新章で現れるかも‥？ああ、早く新章を立ち上げたいけど家事が待ってる！んもーっ！早く晩御飯とか全部やっつけてしまいたい！けどそうもいかないのがジレンマ！そんな時は御前の麗しい姿を脳内再生して落ち着くわ！ (2017年5月19日 16時) (
レス) id: 602a519348 (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - youさん» youちゃん！まちゃきの泣いてる声、聞こえましたか？書いてて私も切なくて‥。かわいそう･･。でも、そんなかわいそうな設定がなんでこんなに似合うんでしょうかね、この人。泣かせたくなるんだよ〜！youちゃん、私も御前のキッとスイッチが切り替わる瞬間が好きよ♪ (2017年5月19日 16時) (レス) id: 602a519348 (このIDを非表示/違反報告)
けめ(プロフ) - 続けて『貴族探偵』の面白さを分からない奴らはどうかしてるぜ！とワタシは声を最大にして言いたい！マチャキの素敵さは勿論だけど使用人達の素晴らしさ！田中さんのボードに事件の概要をまとめて有るのなんて細かくて笑えるし再現シーンもメチャ面白い！マチャキ最高！ (2017年5月15日 2時) (レス) id: 84424ab100 (このIDを非表示/違反報告)
けめ(プロフ) - お願い！誰でもいいから剛くんを剛くんを助けて〜！って、ここは勿論はっしーにお任せして…マジでマジで鼻血ブーになりそうだったわマチャキの燕尾服姿！この世の者とは思えないぐらいの美しさ！直美ちゃんも好きだけどマチャキしか目に入らなかったわー！ (2017年5月15日 1時) (レス) id: 84424ab100 (このIDを非表示/違反報告)
you(プロフ) - まーくんの泣き声が切ないっ！剛くん！まさきが泣いてるよぉ〜。泣かさないで〜、でも泣かせたくなる人なんだよね〜。御前様もセクシーだし、可愛いし。振り切った設定だからいいじゃんね。私、御前の笑顔が消える瞬間が大好きだー！ (2017年5月14日 22時) (レス) id: a6f8bac53b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はっしー
作成日時：2017年2月22日 14時
