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9 霧雨 ページ9







「‥今度
うちのガッコの生徒になんかしたら
ただじゃおかねーから‥。」



大野さんが
明らかに顔色が悪くなってる本田に
ボソボソとつぶやく‥。



「おら、目障りだからさっさと帰れよ。」

大野さんが
めんどくさそうに
バイクの方に顎をしゃくった。



本田は
鼻血を手の甲で横撫でしながら
ゆらりと立ち上がったが
すぐに
パッと身をひるがえして
バイクに駆け寄った。


バイクにまたがって
ヘルメットをかぶりながら
本田のヤツ
俺の方をチラッと見てきたんだけど
その時のアイツの眼!

大野さんには
ヘコヘコしてたくせに
俺には
噛みつかんばかりの勢いで
睨んできやがった!









バルン!
バルルン!



思いっきりエンジンを吹かせ

ズザザーーーッと
ケツを大きく振って方向転換した本田のバイク。


最後に
バルルンッ!
と、バイクをもうひと唸りさせてから
本田は、走り去っていった。



本田の走り去った後に漂う
白い排気ガスは
雨にうたれて
ゆっくり消えていく。



「ゲホ! ゴホゴホ! くっせーな!」

大野さんが
排気ガスをパタパタ手で払いながら
口を尖らせて文句を言った。





雨はほとんどやみかけていたけど
まだ
霧のように細かな雨が
風に吹かれて
白いカーテンのように舞う‥。



その霧雨が
体にまとわりつき
制服のシャツがじっとり濡れて
俺の肌に貼り付いてくる。





それは

俺の腕の中で
ぎゅっと目をつぶっている雅紀も
同じ事‥。


雅紀の細い肩にシャツがピタっと貼り付き
濡れた布越しに
雅紀の肩の肌の色が透けて見える‥。




ただそれだけなのに
俺の胸は
ドキドキと高鳴った。




さっきまでは
苦しげに肩を震わせていた雅紀だったが
今は
呼吸も落ち着いてる。





「梅ちゃん、俺のその黒いリュックとって。
‥んで中に
ウィンドブレーカーが入ってるから
それ出して。」

梅ちゃんにそう言うと
さっき本田の頭に投げつけた
俺の黒いリュックを持って来て

中から
薄いウィンドブレーカーを取り出してくれた。


「梅ちゃん
それ、雅紀にかけて。」

俺に言われるまま
梅ちゃんは
雨でしっとり濡れてしまった雅紀の体に
ウィンドブレーカーをそっとかけた。





梅ちゃんの鼻血は
もうとっくに止まってたけど
顔を血で汚したまんまの梅ちゃんが
俺の腕の中の雅紀を
中腰になって
心配そうにのぞき込んでいる…。

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はっしー(プロフ) - るなさん» るなちゃん、遊びに来てくれてありがとう!この章もここでひとまず終わりです。読んでくれて本当にありがとう!この章の最後に可愛いまちゃきが書けて、嬉しかった私。はぁ〜、まちゃきが好きだわ〜。ふふ、新章にも遊びに来てね♪ (2015年8月14日 0時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - はっしーさん、私まで楽しくなるぅ~!先生方もカッコ良くて、ホントに素敵な工業高校だー!うぉー!そして潤くんに守られて登校する雅紀の可愛いこと!鈴木さんじゃなくても鼻血です! (2015年8月13日 6時) (レス) id: f510cb6ad4 (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - はぴともさん» はぴともさん!私、くノ一と化してました!ササッと闇から闇へと走り抜けちゃうの♪夏休みの間はこんな更新が増えそうよン♪池乃校長、やっぱいい人だったみたい♪んふふ、続きをお楽しみに! (2015年8月13日 0時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - けめさん» けっめちゃーん♪めだか‥じゃなくって池乃校長、いい人でしょう?笑 もうねぇ、私大好きなの♪それはさておき‥。大ちゃん、ひらりと何でも乗り越えそう。そんな大ちゃんが私は好き♪ (2015年8月13日 0時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - sa2さん» 夏休み、子どもが家にいるくらいならどーにかなるんだけど、旦那が家にいるとマジで何も書けない‥。だからこうして夜中にPCに向かう私。でも書くの楽しい!んでもって読んで下さる方がいて、本当に嬉しい!sa2さんありがとう! (2015年8月13日 0時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はっしー | 作成日時:2015年5月25日 0時

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