とある工業高校のおはなし ６（業務連絡♪）

7　もう一つの伝説 ページ7

「呼び捨てにすんじゃねーよ！」

大野さんが
持ってた薄い学生カバンで
バチコン！って
本田の頭をしばいた。


その時の音‥。


ありゃ、普通じゃないよ。
あのカバン
絶対、喧嘩を想定して何か仕込んであるな。
例えば
うっすい鉄板とか、さ。

でないと
あんな音しないし
しばかれた本田もあんなに痛がらないよ。


いやぁ〜‥
まさに
喧嘩上等！な人なんだな。大野さんって‥。









頭を抱えてうずくまる本田の髪をまたつかみ
ぐいっと
強引に上に向かせた大野さん。


「‥今井に言われて来たのか？」

ぼそっと
低い声でつぶやいた。


「ち、違う！
翼さんは、関係ないっす！
お、おお、俺が、勝手にここに来ただけです！」

本田が
頭をふるふると振って、全力で否定している。


「本当です！ 信じてくださいっ！」

必死の形相の本田に
大野さんは
冷たく突き放したように言った。


「喧嘩続きだったうちと東工業の間を
せっかく
俺が収めてやったのに‥。
この静けさを
そっちが壊したいんなら
俺は
いつでも受けて立つぜ。」

「そ、そそ、そんな、こと
翼さんは、全然、考えてませんっ！！」


本田が
半泣きの顔で
噛み倒しながら弁明してる。




「ふん、どうだか‥。
今井は、俺をいまだに許しちゃいねえからな。」

大野さんは
ツンとそっぽを向いた。









ここで
ちょっと
うちと東工業の昔話を挟ませてくれ。









うちと因縁の関係の東工業とは
かつては
血で血を洗うような戦争状態だったが
今は
大きな喧嘩騒ぎもなく
表面上
穏やかさを保っている。



両校の血なまぐさい状態に終止符を打ち
今の静けさをもたらしてくれたのが
なにを隠そう、この大野さんだ。





‥そう

これも大野さんの伝説の一つ。

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