とある工業高校のおはなし ６（業務連絡♪）

45　池乃校長 ページ45

ルールは、ルール。

守らなきゃいけない。





そんなこと、分かってる。





でも‥


大野よ



お前


こんなに、ひらりと退学して


それでいいのか？





就職は？


ほぼ内定の
東京のデザイン事務所は？







長瀬「‥お前
退学になったら
内定、取り消されるんじゃないのか‥？」


思わず
俺の口からもれたこの一言・・・。









し ‥‥‥ んん‥


と
校長室が静まりかえる・・・。





内田先生も、小笠先生も
紙のように白い顔になってる‥。



俺も口の中がカラカラだ。





だけど

大野は
俺の方にくるっと振り返って
ニカッと笑った。



Ｏ「かもね♪
でも、そん時ゃそん時だよ。」



なんとも身軽な一言‥。





礼子「そうそう。
内定取り消しになっても
うちの研究チームの荷物持ちに雇ってあげるわよ♪」


Ｏ「げぇ〜〜‥
死ぬほどこき使われそう‥。」



あははっと楽しそうに笑う
大野と礼子さん。




礼子「荷物持ちがイヤなら
隣の月待神社で
庭掃除でもさしてもらえばいいじゃない。」




仕事なんて
どこにでもあるわよ。
心配、ないない♪



ひらひらと手を振る礼子さんと

そうだよね〜っと笑う大野。





何なんだ？

この二人は
一体なんなんだ？
負け惜しみでも何でもなく
退学ならそれもいんじゃない？

‥と本気で思ってる。





理解できね〜‥‥


って
俺が頭を抱えていると

櫻井が
つい‥っと校長の方に振り返った。





櫻井の視線を追いかけて
内田先生、小笠先生も校長の方に振り返る‥


もちろん俺も
ゆっくり首をめぐらせて
校長の方に向き直った‥‥‥‥。









そうだ‥



校長




校長はどう思ってる？





さっきから何も言わないけど

校長
あんた
一体何を考えてる？









・









皆の視線が
校長の小柄な体に集まった。





ゴホン‥


小さな咳払いの後

ゆっくりと校長が口を開いた。





「大野くん‥

君はさっき
自分の責任って言いましたね‥。」

池乃校長が
小声でそう言った。


Ｏ「言ったよ。」

大野が
細いあごを突き出しながら答えるのと同時に
バシッと礼子さんから
延髄切りの鋭いチョップが入る。



礼子「こら！ そこは『言いました』でしょ！」

へ〜い‥と首をさすってる大野を尻目に
内田先生も
小笠先生も
校長が何を言うのか
一言も漏らさないつもりで耳を澄ました。

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