とある工業高校のおはなし ６（業務連絡♪）

38　のんきな人たち ページ38

ニコニコ笑ってる内田先生‥

すっごく楽しそうなんですけど！



それにこの話
そんなウキウキしながら喋る内容じゃないっす！





「う、内田先生
その話はもう、そのへんで‥、ね‥。」

俺が
もう話を打ち切ろうと
内田・小笠両主任の間に割って入ろうとしたのに


「並走って‥、スピード、何キロ出てたんですか？」

って
なんとも素直で人がいい小笠先生が
悪気ゼロで
誰もが抱く率直な質問が内田先生にぶつけた。



その質問を待ってましたとばかりに
内田先生が
その時のことを嬉々として説明し始めた。









内田「大野が並走した車は
どっかのおじいさんが運転してて
とにかく
すっごく遅い車だったみたいなんだわ。
んで
これ抜けるんじゃないのかな〜‥って
大野は思ったらしく
後ろから抜きにかかったんですが
そのおじいさんも
ママチャリに抜かれるのはイヤだったらしく
急にアクセル踏み込んじゃって。笑
お互い譲らず
ずーっとあの道を並走してたら
そこを巡視中のパトカーに見つかってしまったって訳。」




そこまで一気に言うと
内田先生も小笠先生も一緒になって

わはははは♪

あはははは♪

って大爆笑しちゃった。







だけど‥


「ゴホンっ！！」


校長が
大きな咳払いをひとつするやいなや

両主任先生は
ハッとなって二人同時に口をつぐんだ。





「お二人とも、笑い事ではありませんよ。」

口調は穏やかだけど
校長のその声には
ピリッとしたものが含まれていて

二人の主任先生は

「す、すみませんっ！！」

縮み上がってしまった。





そんな二人の先生の様子を見て
大野が

くす‥っと笑った。






(こんにゃろっ！ なに笑ってんだ！
おめえのことだよ！)

暢気な大野に
怒りの沸点が低い俺は
瞬間的に頭に血が上り
一言何か言ってやろうと口を開いたその時


「大野くん、あなたのことですよ。
反省しなさい。」


校長が静かな声で諫めた。




校長の目は
笑っていなかった‥‥。

39　ゲンコツと指輪→←37　大野の過去

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す