36 暗黙のルール ページ36
・
櫻井のおっさんが
さっさと帰ってしまったというのは‥
本当だ。
大野が
櫻井を連れて帰るというと
櫻井のおっさんは
「ああ、そう。
どっちにしろ
もううちでは翔を預かれないから
あとは
寮に入れてもらうか
どっかの家に転がり込むか
好きなように決めてください。」
と
櫻井本人の目の前で
きっぱり言い切りやがった。
さらに
「翔の荷物は言ってくだされば
どちらにでも送ります。
って言っても
それほど荷物らしい荷物はありませんけどね。」
何がおかしいのか
櫻井のおっさんは、ふふっと鼻先で笑った。
その薄ら笑いを見た時
俺も
大野も
このおっさんに殴りかかりそうになったが
その衝動をすんでの所で
なんとか抑えることができたのは
まさに奇跡に等しかった!
ギリギリと歯がみする俺らの凶暴なオーラに気づいた小笠先生が
櫻井のおっさんを
早々に生徒指導室から連れ出してくれたけど
あれ
あと1分ぐらいあのおっさんがあそこにいたら
俺と大野は
確実に
生徒指導室を血の海にしていただろう!
それくらい
はらわたが煮えくりかえる思いだった。
・
なのに‥
櫻井は
何も言わなかった‥‥。
大野に
手を握られたまま
櫻井は
眼を伏せて
じっと俯いていた‥‥。
その姿は
小さくて
頼りなくて
迷子の子どもみたいに不安げで
今にも
泣き出しそうに見えた‥‥。
・
「‥さて、大野君。
君の処遇についてだが‥」
一人がけのソファに腰掛けた
小柄な池乃校長が
おもむろに口を開いた。
校長のこの優しげな声音が
逆に
怖いんだよな〜。
「我が校には
在学中、3回無期停になった者は
自主退学するという暗黙のルールがあることを
大野君、知っていますか?」
ずいっと校長が身を前に乗り出してきた。
「‥知ってる。」
拗ねた子どもみたいに
唇を尖らせて
大野はボソッと答えた。
その大野の後頭部に
バシッと礼子さんの平手打ちが炸裂した。
礼子「知っています、でしょっ!!
なにタメ口きいてんのよ!」
いってぇ〜‥っと
自分の後頭部をなでながら
大野は
唇をとがらせて礼子さんをチラッと横目で見た。
そして
「‥‥知って、います‥。」
と
言い直した。
「うん、そうですか。
それなら話は早いですね。」
校長がにっこり笑って
ソファの背もたれにゆっくりともたれた。
礼子さんが
覚悟を決めたように
ぎゅっと目をつぶった。
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はっしー(プロフ) - るなさん» るなちゃん、遊びに来てくれてありがとう!この章もここでひとまず終わりです。読んでくれて本当にありがとう!この章の最後に可愛いまちゃきが書けて、嬉しかった私。はぁ〜、まちゃきが好きだわ〜。ふふ、新章にも遊びに来てね♪ (2015年8月14日 0時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - はっしーさん、私まで楽しくなるぅ~!先生方もカッコ良くて、ホントに素敵な工業高校だー!うぉー!そして潤くんに守られて登校する雅紀の可愛いこと!鈴木さんじゃなくても鼻血です! (2015年8月13日 6時) (レス) id: f510cb6ad4 (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - はぴともさん» はぴともさん!私、くノ一と化してました!ササッと闇から闇へと走り抜けちゃうの♪夏休みの間はこんな更新が増えそうよン♪池乃校長、やっぱいい人だったみたい♪んふふ、続きをお楽しみに! (2015年8月13日 0時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - けめさん» けっめちゃーん♪めだか‥じゃなくって池乃校長、いい人でしょう?笑 もうねぇ、私大好きなの♪それはさておき‥。大ちゃん、ひらりと何でも乗り越えそう。そんな大ちゃんが私は好き♪ (2015年8月13日 0時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - sa2さん» 夏休み、子どもが家にいるくらいならどーにかなるんだけど、旦那が家にいるとマジで何も書けない‥。だからこうして夜中にPCに向かう私。でも書くの楽しい!んでもって読んで下さる方がいて、本当に嬉しい!sa2さんありがとう! (2015年8月13日 0時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はっしー | 作成日時:2015年5月25日 0時