とある工業高校のおはなし ６（業務連絡♪）

４　緊急事態 ページ4

・









本田の
クソ早い連続パンチを
必死で
紙一重の所でよけてたら

「ま、松本くんっ！
松本くん、相葉くんの様子がっ！！」

梅ちゃんの
泣きそうな声が聞こえてきた。




ハッとふり返ると
雅紀が
俯いて
胸をおさえて
うずくまってるのが見えた！




その瞬間

俺は
自分の全身の血が
サーッと引いていくような‥

背中が凍るような‥

なんとも言えないゾッとする感覚にとらわれ
一瞬
棒立ちになってしまった。



その隙を逃さず

「松本ぉっ！」

本田が
俺の顔面目がけて殴りかかってきた。




ちっ！



本っ当ーに、本田、うぜぇっ！！





「うるせぇっ！」

俺は
唸りを上げて飛んでくる本田のパンチを
右手の掌でバシッと受け止め
そのまま本田の右手をグッと引き
前のめりになった本田のデコに
思いっきり頭突きをかましてやった。





ゴツッッ！！！☆





くぅ〜〜‥！




本田の奴
めっちゃ石頭でやんの！
目がチカチカする！


でも
頭突きって
圧倒的にされた方がダメージでかいんだよね。




ぐおおぉっ！！

って
本田は獣じみたうめき声をあげて
その場にしゃがみこんだ。

俺は
しゃがみ込んだ本田の背中に一蹴り入れて
本田のアホを
水たまりの中に突っ込んでから

「雅紀っ！！」

すぐに
梅ちゃんに背中をさすられてる雅紀の元に
駆け寄った。





「雅紀っ！ 大丈夫か？！ 胸か？ 胸が苦しいのか？！」

梅ちゃんから
雅紀を抱き取って
俺は
ぎゅうっと雅紀の細い体を抱きしめた。




俺の腕の中で、震える雅紀‥。



血の気が失せた青い顔の雅紀は

自分のシャツの胸元を
指が白くなるほど強く握りしめたまま

かすかに、小さく、うなずいた。






ﾊｧ‥


ﾊｧ‥





雅紀の
きつくつぶった目尻からは
涙が次々にあふれ

薄くひらいた唇からは
苦しげな息がもれている‥。



そんな状態なのに

「‥じゅ ‥ ん、く‥ ﾊｧ‥
ケンカ‥、ﾋｯｸ、 ‥し、ない ‥ で ‥ 」

‥と、つぶやく雅紀に
俺は
胸がグッと詰まった。

5　学生カバン→←3　二人は知り合い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す