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25 家事都合 ページ25

生徒指導室で
小笠先生が話しているのは

きっと

翔を引き取った、という親戚のおじさんなのだろう。





かなり興奮している。



俺が
扉越しに聞いてることも知らずに
翔のおじさんの大きな声は続いた。





「父親は勝手にさっさと死んじまうし
母親には置き去りにされて
翔のヤツも
かわいそうとは思いますよ。」


ガラガラのしゃがれ声が
言葉を続ける。





「でもね
うちの身にもなってくださいよ。
親戚ってだけで
今までほとんどつきあいもなかった家の子を
ポンと
押しつけられたんですからね。
自分んとこの子ども2人を大学に行かせるのも
キツイってのに!」





 ‥ きゅっ





俺は

唇をきつくかんだ。




パイプ椅子を握る手に
力がこもる。





自分の心臓の音が
ドッドッド‥、って
やかましいくらい響いてる。









 ‥ この、おっさんの言うことは

確かに

そうかも、しれないけど‥





でも
それは

翔のせいじゃない。



翔の
責任じゃない。









俺は

黙って
じっと聞き耳を立てながら

体の中が
カーッと熱くなってくるのを感じていた‥。









「とにかく
こっちも急ぐんですよ。
なんせ
8月には
上の息子夫婦がこっちに帰ってくるんでね。」









この一言で
俺にも
話が見えてきた。





怒りで
目の前が一瞬
カッと、赤く染まったように思えた。





このおじさんは
翔のことが、邪魔なんだ‥。


自分とこの息子が
帰って来て同居することになったから
翔を
家から追い出したいんだ。





パイプ椅子を持つ俺の手が
ブルブルと震えた‥。





























「寮に、空室あるんでしょ?
ちゃんと調べて知ってるんですからね。
夏休みの間
翔を
寮に入れるぐらいできるでしょう?
ああ‥
一ヶ月もないな。
8月の末には
あの子はアメリカに行くんだし。」





一方的にべらべら喋っていた翔のおじさんに
小笠先生が
気弱そうな声で
ささやかな抵抗を見せた。


「いえ‥、そんな‥、 急に言われても‥。」



しかし
小笠先生の反論も最後まで言わせてもらえず
すぐに
翔のおじさんがかぶせるようにして
大きな声を出した。





「急なのは、こっちも一緒ですよ!」





バンッ!!





机でも叩いたのだろう。
大きな音がした。





「とにかく!
翔はもう、うちには置いとけないんです!
アメリカに行っちまうまで
学校の方で
面倒見てください!」

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はっしー(プロフ) - るなさん» るなちゃん、遊びに来てくれてありがとう!この章もここでひとまず終わりです。読んでくれて本当にありがとう!この章の最後に可愛いまちゃきが書けて、嬉しかった私。はぁ〜、まちゃきが好きだわ〜。ふふ、新章にも遊びに来てね♪ (2015年8月14日 0時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - はっしーさん、私まで楽しくなるぅ~!先生方もカッコ良くて、ホントに素敵な工業高校だー!うぉー!そして潤くんに守られて登校する雅紀の可愛いこと!鈴木さんじゃなくても鼻血です! (2015年8月13日 6時) (レス) id: f510cb6ad4 (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - はぴともさん» はぴともさん!私、くノ一と化してました!ササッと闇から闇へと走り抜けちゃうの♪夏休みの間はこんな更新が増えそうよン♪池乃校長、やっぱいい人だったみたい♪んふふ、続きをお楽しみに! (2015年8月13日 0時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - けめさん» けっめちゃーん♪めだか‥じゃなくって池乃校長、いい人でしょう?笑 もうねぇ、私大好きなの♪それはさておき‥。大ちゃん、ひらりと何でも乗り越えそう。そんな大ちゃんが私は好き♪ (2015年8月13日 0時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - sa2さん» 夏休み、子どもが家にいるくらいならどーにかなるんだけど、旦那が家にいるとマジで何も書けない‥。だからこうして夜中にPCに向かう私。でも書くの楽しい!んでもって読んで下さる方がいて、本当に嬉しい!sa2さんありがとう! (2015年8月13日 0時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はっしー | 作成日時:2015年5月25日 0時

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