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尽きることなく湧き出る湯は
ゴツゴツとした岩肌を絶えず濡らして溢れ出し
砂浜へしみこんでいく。
薄暗い洞窟の中は
白い湯気がたちこめており
そのせいで
なにもかも
すべての輪郭がにじんで見えた。
だから
足先だけ湯につけ
岩の上で
そ･･っと抱き合う雅紀とうつほは
このまま
湯気にとけて
消えてしまいそうで
「･･ましゃき･･、さま･･」
「う･･ちゅ、ほ･･」
ツノ丸と智は
思わず声をかけてしまう･･。
すると
互いの背中に手を回し
溶け合うように
ぴったりと抱き合っていた二人が
そろって
物憂げに顔を上げた。
鏡に映ったようにそっくりの
二人
その姿は
寄り添い合って咲く
汚れを知らぬ
二輪の白い百合そのもの･･
ただ、ただ、美しく･･
ツノ丸と智は
言葉をなくして見とれてしまった。
そこに
人目を避けるため
この岩屋の入口に垂らしていた白布が
バサッと乱暴にめくられ
「ちょっと！
今、大きな声がしたけど、何かあったんですか？！」
男が一人
この岩屋に飛び込んできた！
飛び込んで来るなり
その男は
砂に足を取られてしまい
頭っから砂の中に突っ込んで転んでしまった。
突然の男の乱入に
雅紀とうつほは
ひしと抱き合ったまま声も出ないほど驚いたが
砂まみれになった男の顔を見て
すぐに雅紀が
「カズっ！」
と大きな声を上げた。
そう
この男は
雅紀の幼なじみの和也だ。
「カズ、どうしてここに？」
という雅紀の問いに答えようとしても
口の中に
砂がいっぱい入ってしまったので
カズは上手くしゃべれない。
「(ﾍﾟｯ！)こっちに来る(ﾍﾟｯﾍﾟｯ！)
用事が(ﾍﾟｯ！)あった、から(ﾍﾟｯﾍﾟｯ！)
ついでに･･寄った(ﾍﾟｯ！)だけです！」
砂を吐き出しながら説明してくれるのだが
何を言ってるんだか
雅紀とうつほにはよく分からない。
すると･･
「お前、ほんまに天邪鬼やなぁ。
まーに会いたいから連れてってぇって
俺に泣きついたんやって正直に言えや！」
という大きな声が
洞窟内に響き渡った。
さっきカズがめくった白布に
大きな翼の影が映る。
その影を見て
ツノ丸が
「あっ！ヒナーっ！」
って叫んだ。
果たしてその通りで
白布をめくって現れたのは
背中に大きな黒い羽をしょった天狗のヒナだった。
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asami(プロフ) - 一気読みしました、面白かったです。優美な平安貴族雅紀さんも、海で暮らすうつほもどっちも好きです！個人的には潤雅が好きです。何はともあれ幸せに終わって良かった！！ (2020年4月12日 19時) (
レス) id: 58c67b34bd (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - がっはさん» あやかしを読んでくださって本当にありがとうございます！ものスゴく嬉しいです！こちらを書き上げてしばらくぼんやりしてたのでコメいただいてることに気づくのが遅くなってごめんなさい。読み返すだなんて、もう泣きそうです。ずっと緑さんを応援しましょうね。 (2017年9月18日 9時) (レス) id: c6f10b192f (このIDを非表示/違反報告)
がっは(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました。終わってしまうのが寂しいです。きっとこれからも何度も読み返すと思います。これからも緑愛に溢れた作品期待しています (2017年9月3日 6時) (レス) id: c4dbbce966 (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - けめさん» 本当に感謝の気持ちでいっぱいです。最後まで書けて良かった。けめちゃん、ずっと見守ってくれて本当に本当にありがとう！けめちゃんにコメもらえて本当に嬉しいです。ありがとう！！ (2017年8月29日 22時) (レス) id: c6f10b192f (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - けめさん» けめちゃん、私にとってこのお話は特別なものです。何で特別なものかというと、長い間あたためてきたからというだけでなく沢山の方に応援していただいて書き上げられたお話だからです。応援してくれた人の一人がけめちゃんです！けめちゃんの言葉にどれだけ励まされたか (2017年8月29日 22時) (レス) id: c6f10b192f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はっしー
作成日時：2015年3月24日 2時
