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「ここが、一瀬の敷地内」
「へぇ。ここに……グレンってのがいんのか」
「そうそう、可愛いのよ」
グレンは男のはずだが。
すると、川から男が現れた。
黒髪に柔いウェーブがかっていて、綺麗な紫の瞳の色。
大人びた少年だ。
真昼がその少年に向かって、走り出した。そして、なにか他愛もない話をしている。
ここで、分かった。
「ああ……あいつが、グレンね」
真昼が上半身裸の、グレンの体をつつく。グレンは引く。
それを見て、俺は、
「可愛いな」
と言った。
決して、男性が好きと言う訳ではない。反応が可愛いのだ。
グレンが悪い。
まあ、問題はないだろう。
と、勝手に判断して、俺はその場から離れた。
否__離れようとした。
踵を返そうとしたとき、後ろに気配が降りてきたのが感じた。
「動くな。何者だ。『帝ノ月』の信徒か?」
「……そうなんです。実は、迷ってしまって……」
「嘘だな。私は、お前を見たことがない」
「可笑しいですねぇ?」
「見たことがないから、仕方ないだろう」
「いえ、そうではなく」
「なんだ?」
「俺はお前とは違うのに、お前と同じで、俺はお前を見たことがないってことにだよ」
俺は素早く後ろを振り向き、そいつを木に押し付ける。
そいつの腕を、後ろで拘束する。
「抵抗するな。俺は、攻撃を仕掛けに来た訳ではない。妹の様子を見に来ただけだ。
用はもう済んだ。俺は帰る。このことは、誰にも言わない方がいい。
『帝ノ月』が壊滅するからな……」
「!」
柊はその力を持っている。
「……あなたもしかして、真昼って子の兄なの?」
「……なぜ、知っている」
「……ふふ」
女は此方に顔を向けて、言う。
「だって、真昼ちゃんが会ってる男は、私の双子の弟なんだもの」
綺麗な紫の瞳。
綺麗な漆黒の髪。
綺麗な_____微笑みを向けた彼女。
「私は一瀬カスミ。あなたは、柊……なに?」
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暁の雨 - クッキーさん» ありがとうございます!不潔で面白くないかな、と思いましたが。救いの女神!更新頑張りますね!! (2017年3月11日 10時) (レス) id: e8dddc3b1a (このIDを非表示/違反報告)
クッキー(プロフ) - とても面白いです!!!!! 更新頑張ってください^_^ (2017年3月10日 19時) (レス) id: e81086d7ab (このIDを非表示/違反報告)
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