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「………」
無言で廊下を歩くA様に、歩幅が合わず、小走りで着いていくあたし。
ぴたっと。彼は足を止めた。そして、振り返えって、言う。
「鬱陶しい。部屋に戻ってろ」
「う……申し訳ありません。そのように致します」
鋭い眼光で見られては、反抗することなんて出来ず、大人しく命令を聴いた。
……だが、仕事なのだ。
密かにA様にバレないように後を着けた。
すると、彼が部屋に入った。
その部屋は、柊天利様のお部屋であった。聞き耳を立てて聴く。
「父上。何故、俺に従者など?」
「……お前は次期当主候補だ。それに、盾になる人間が必要だろう。弾除けくらいはな」
そう言う事らしい。
あたしはA様を護る盾として、従者に選ばれた。
今はなんとも思わない。
だが、幼いあたしは恐かった。死が。
だから身体がびくびくと震えた。
「そんなの……俺には必要ありません」
「それは私が決める」
「俺は真昼には敵いませんが、あの餓鬼よりかは強いですよ」
餓鬼。
あたしは少しショックを受ける。
けど、それもいまではなんとも思わない。
それは
まだ十二歳のあたしの命を、大切に庇ってくれていたのだから。
あたしはその場から逃げた。
「………」
「どうした」
「……いえ。これで、良いと思い」
「そうか」
どうして。
あたしは認められて、嬉しかった。
だからより認めてもらいたかった。なのに、彼だけには認められなかった。
弱いんだ。まだ。
きっと……強くなれば、認められる。
外にいる、ヨハネの四騎士に勝てれば。あたしはあの人に認められる。
きっと……あの人の傍に居ても、許してくれる。
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暁の雨 - クッキーさん» ありがとうございます!不潔で面白くないかな、と思いましたが。救いの女神!更新頑張りますね!! (2017年3月11日 10時) (レス) id: e8dddc3b1a (このIDを非表示/違反報告)
クッキー(プロフ) - とても面白いです!!!!! 更新頑張ってください^_^ (2017年3月10日 19時) (レス) id: e81086d7ab (このIDを非表示/違反報告)
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