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『……何だって?』
低い声。続いてミシリ、と音が鳴る。
『誰が? 何だって?』
ミシミシと音が聞こえる。
「おい、携帯壊すなよ。」
『だってあれが? 嘘でしょ?』
焦ってる様子が頭に浮かんだ。
『中也? 何笑ってんの』
「悪い悪い、」
嗚呼、愉快だなァ。
『今何処?』
「何時もの所だ。」
『分かった』
ブツリ。
「如何でしたか? 中原さん。」
芥川が尋ねた。
「おお、すぐ来るってよ。」
俺は煙草を取り出す。
「……何がそんなに可笑しいのかね。」
広津が俺を見定める様に、眼鏡を上げた。
「くく、広津には敵わねぇな。」
前っからだが、この爺さんには敵わねぇ。
「だって、面白ぇだろ? ほら、」
俺は煙草に火を付けて、深々と吸った。視線を遠くにやる。
前方から、魔王が来る。
周りにいる部下は慄いて、奴に道を譲った。
黒い外套が翻る。目に底無しの闇が見える。禍々しい気配がゆらゆら立ち上る。
俺は堪らず、口角を上げた。
「何笑ってんの。」
其奴は酷く不機嫌に云った。
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作者名:Mirror. | 作成日時:2017年6月25日 17時