【今】 ページ16
聞き覚えのある声が背後から聞こえた。
ドクン、と心臓が跳ねる。
……は？
身体がピタリと止まり、振り返ることすらできない。背中に冷たい汗が伝う。
動揺のあまり考えていたことを全部忘れた。手が震える。
どういうことだ……！？
「おーい、聞こえてんだろ？」
顔を覗き込まれる。
そこには今回で三度目のツギハギ面。昔と全く変わらない水色の瞳が太陽に照らされている。
なんで、なんでお前が此処にいる？
「おま……死んだんじゃ…………」
「ああ、死んだよ。
あの日、轟燈矢は死んだ」
俺の肩に腕が回る。妙な馴れ馴れしさが逆に不気味に思えた。
だが、それを上回る程の混乱が俺を襲っていた。展開が急すぎて頭が追い付かない。
生きていた……？ 燈矢は、生きていた……？
何故、どうして？
「……と、燈矢…………！」
「燈矢じゃねぇ、今は荼毘だ」
物は試しで名前を呼んでみた。しかし返ってきたのは荼毘という名前。
荼毘って、あのメンヘラ化した燈矢のことか！
嘘だろおい、またメンヘラルートに入っちまったってのか！？
何もかもが唐突すぎて言葉に詰まっていると、荼毘は「間抜け面」と鼻で笑ってくる。
いや、今そういう空気じゃねーだろうが。何ふざけてんだよおい。
「なんでそんなヘラヘラしてんだよ……！ 家族の人たち皆心配してっぞ！！
今からでも早く家に帰ってやれや！！！」
乱暴に胸倉を掴む。こんなに真面目なことで怒鳴ったのはいつぶりか。自分で言うのもなんだけど俺がブチギレるだなんて相当だかんな？
しかし荼毘は少しだけ目を細めて俺の名前を呼んだ。罪悪感も何も無い、それどころか何かを楽しんでいるような、そんな目。
コイツ……イカレてんじゃねーの？
「……話せ、何があった。あの日何があった、何がお前を変えた」
「落ち着けよ、警察官君」
「ふざけてんじゃねーよ、真面目に答えろ！！」
今日、冬美さんと話した。
あの人は悲しんでいた、後悔していた！ お前の話にちゃんと耳を傾けておくべきだったって、寄り添ってあげるべきだったって！！
それなのに、当のお前はなんでどうってことないみたいな風に笑ってんだよ！
轟燈矢は死んだ？ 馬鹿みてーなこと抜かしてんじゃねーよ！ 勝手に殺すなボケカス！
お前はちゃんと今、轟燈矢として生きてんだろうが！ 轟燈矢として息してんだろうが！！
何が荼毘だ、中二病も大概にしろ！！！
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ガシヤマ(プロフ) - なつさん» コメントありがとうございます！ ギャグ：シリアス＝７：３を意識しました。この物語の骨組みはギャグといっても過言ではない……！ (4月15日 20時) (
レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
なつ - 夢主の馬鹿さゆえにできたことでもあって最高でした。見ていて笑う場面が少しあってとっても良かったです！！ (4月15日 18時) (レス) @page26 id: 98eb2768f8 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - 個人情報は処罰さん» コメントありがとうございます！ 荼毘君も好きだけどやっぱり幸せいっぱいの燈矢君も良きですよねぇ……！ (4月2日 1時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
個人情報は処罰 - なんてっ…幸せなEnd…！！もう感服です！！ありがとう！！！！！！ (4月2日 1時) (レス) @page26 id: 8d392127e6 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます！ まさかこんなに共感してくれる人がいるだなんて驚きです……！ 私も書いてる時「最高すぎる……これが原作であれ」って思いました（笑） (4月1日 15時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ガシヤマ x他1人 | 作成日時：2024年3月14日 23時
