番外編 ２-２ ページ48
「お待たせしました。」
俺が入れた紅茶と、店長が作ったランチをお盆に乗せて運ぶA。
「様になってきたね。」
誇らしげに店長は言う。
「まだ接客しかできませんけどね。」
隣に立つ俺は苦笑い。
Aがバイトを始めてから二週間。
毎日バイトしているわけじゃないから、まだ数回目だけど、Aの接客態度は上達していった。
俺があれだけ教えたカップの種類は覚えられていない。
違いが分からないんだとか。
「４番、いちごパフェです。って何笑ってるんですか二人とも。」
客のオーダーを聞いて帰ってきたAは、ほほえましく見つめられて困ったように眉を寄せる。
「なんかね、娘の職場に来た父親の気持ち。ね、ホソク君。」
「ですね。A、接客上手になってるよ。」
goodの意味で親指をたてれば、Aは若干呆れ顔をする。
「Aちゃん、パフェ入れてみる？」
「やってみます！」
ホソク君はオーダーとっててね、と言われたので厨房へ向かう二人を見送る。
なんだか、のけ者にされた気分…。
「お疲れさまでした〜」
バイトが終わったので、店長一人を残して帰る準備をする。
暗くなった道をAと手を繋ぎながら歩く。
「いつかは厨房で料理つくりたいなあ。」
「ランチもお皿決まってるから、それ覚えないと無理だよ。」
「ランチは食べてきたからきっと大丈夫。」
自信満々に胸を張るA。
でも悪いけど…。
「でも、その前にカップの種類を覚えないとさせてもらえないと思うな。」
と言うと、えー、と不満げな顔。
目も濁った水色になる。
途端に拗ねだして、つないだ手をぶんっと振られる。
「もういいもん！パフェのビッグサイズ用の器に紅茶入れちゃうもん！」
「いやいや勘弁して、それガラスだから！割れちゃう！！」
慌ててツッコむと、隣はふふっと上機嫌な笑顔。
「冗談だよ。」
「分かってる。」
ちらつき始めた街灯が、俺たちを温かく照らしていた。
------- 番外編 ２ fin -------
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YI*(プロフ) - ネルさん» ありがとうございます！とても嬉しいです！少しずつですが更新していきますのでよろしくお願いします。 (2019年8月12日 11時) (
レス) id: 782a5bcfef (このIDを非表示/違反報告)
ネル(プロフ) - 面白いです！これからの展開を楽しみにしています！ (2019年8月12日 9時) (レス) id: 19c44c9a58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：YI* | 作成日時：2019年8月7日 20時
