愛をください。3 (ページ44)

今日:42 hit、昨日:5 hit、合計:234,587 hit

123.Cancellation ページ44

.

.

『5時頃までには帰るから。』

.

.

そう言い残して部屋を出た雅紀を

出かける準備をして待つ

.

.

本格的なデートなんて久しぶりで

つい

オシャレも頑張ってみたりして

.

.

髪の毛も巻いて

買ったばかりのワンピースに袖を通す

.

お化粧もいつもより頑張ってるなんて

浮き足立ってるのが

自分で分かる

.

.

どこから見たって

他の女に負けてるところなんてない

.

.

私は

誰にも負けたくない

.

今までも

そう頑張ってきたんだ

.

.

.

勢いよく開いた玄関のドアに

驚いて振り返った

.

.

雅紀「ただいまっ！ごめんな、遅くなっちゃって？なかなか帰してもらえなくてっ！」

A「おかえり、私……準備できてるよ？」

.

.

息を切らす雅紀が

何度も「ごめん」を繰り返す

.

冷蔵庫の前で

大きなペットごと喉に水を流し込んで

吸われたペットボトルが

バコッと大きな音を立てた

.

.

.

雅紀「行くの止めようか……。」

.

.

A「え？」

.

.

突然、じっと私を見つめて

雅紀が言う

.

.

雅紀「あ～～～……いやっ！なんでもない。ちょっと待ってて？今、着替えちゃうから。」

.

A「……うん。」

.

.

ヘラヘラっと笑って

寝室へと消えた

.

.

一瞬だけ合間に見せた真剣な顔

.

.

あれは、何？

.

そして

耳も疑いたくなるような言葉

.

.

.

『行くの止めようか……。』

.

.

.

誘ったのは

雅紀なのに

.

浮かれていたのは

私だけ

.

じゃなきゃ

.

あんな言葉

言えるはずなんて無い

.

.

バカみたい

私

.

.

.

雅紀の消えた寝室に視線を流して

チクチクと

突き刺さるその言葉に

.

ぎゅっと唇を噛みしめていた

.

.