愛をください。3 (ページ13)

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92.凍えた心ページ13

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ベッドに眠る雅紀を見つけて

その背中に潜り込んだ

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強く抱きついて

その存在を確かめる

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雅紀「……お帰り……遅かったね、今日。」

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A「うん、ごめ……連絡もしないで……。」

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寝ぼけたかすれ声が

耳に届いて

それを聞いただけで

胸の奥が熱くなる

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雅紀「……なに？A……？どしたの？」

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背中に抱きついて離れない私に

雅紀は不信げに体を半分起こした

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雅紀「A？」

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胸の奥が詰まる

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声を殺しても

震える指先を雅紀は感じ取っていて

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冷たくなった指先をぎゅっと掴んだまま

体を寝返らせた

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雅紀「なんで泣いてんの……？」

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言葉にされると

堪えていた涙が

ボロボロと溢れ出す

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A「泣いて……なんっ……ない、っからっ……っ。」

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途切れる声に

それを誤魔化すことも出来ない

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雅紀「泣いてんじゃん。」

A「違う……。」

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雅紀「泣いてんでしょう。」

A「違うからっ！」

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雅紀「全く……強情だなぁ……。」

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A「だって、ちがっ……から……。」

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嗚咽混じりの声が

いつまでも喉を鳴らす

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理由もろくに聞かないで

雅紀は腕の中に私を包んだ

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ただ力任せにぎゅうっと私を抱きしめて

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でも

それだけでも

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凍えた心は

落ち着きを取り戻し始めていた

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ずっと忘れていた

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例え態度が素っ気なくても

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別のどこかに心があっても

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雅紀が

ただ側にいるだけで

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私は

それだけで

良かったんだ

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