愛をください。2 (ページ6)

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46.『二番目の女』-1 ページ6

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雅紀と出会ってから半年

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月に会えるのなんて数回程度で

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それでも私は

会う度に雅紀に、のめり込むのが自分で分かった

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毎月

わざと同じ日を指定して会う

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下らないこだわりだって思うけど

その日は唯一

二人の出会った記念日だと思っていたから

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A『雅紀……。』

雅紀『なに？』

A『……何でもない、呼んでみただけ。』

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雅紀『なんだ、それ……。』

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ベッドの中で二人

他愛ない会話を交わす

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いつからか自然に名前が呼べるようになって

雅紀に呼ばれるのも

『Aさん』から『A』に変わっていた

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A『ねぇ？彼女にはなんて呼ばれてるの？』

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不意にそう聞くと

裸のまま寄せた体を

ぐるりと寝返らせた

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雅紀『そんなこと、聞く？』

A『……うん。知りたいなって、思ったから。』

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うつ伏せたまま

サイドテーブルに手を伸ばして

置かれた煙草に火をつけた

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雅紀『まぁくん。可愛いでしょ？俺。』

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ヘラッと笑って肩を震わせる

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唇からはその呼吸と共に

小刻みに煙が漏れていた

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A『可愛いんだ？彼女。』

雅紀『まぁ……ね？甘えるのが好きみたい。』

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A『そんな感じ、する。』

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その呼び方だけで

甘え上手な彼女を想像できた

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私とは

まるで違う人種

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A『まぁくん……。』

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雅紀『……えぇ？』

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わざとその名で呼んでみると

大袈裟に驚いた顔をする

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A『わたしは、呼べないな。甘え下手なの。』

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雅紀『なに言ってんの？AはAだから……あいつと比べる必要ないっしょ？』

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指先の煙草を揉み消して

また、その手が素肌に触れた

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腕の中に収められると

こんなに体温は近くにあるのに

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雅紀は

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他の女のものなんだ

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